1865年京都。新選組は新たに隊士を募集した。多くの志願者が集まる中、一際異彩を放つ美少年がいた。加納惣三郎そうざぶろうと名乗るその青年は、新選組きっての剣豪・沖田総司をも手こずらせる程の剣の腕の持ち主だった。そして、もう一人、加納と双璧をなす程の剣の腕の持ち主・田代彪蔵ひょうぞうの二人が、その剣の腕を認められる。今後この二人の入隊によって新選組内部の空気は少しずつ変わっていくことになる。田代は衆道(男色)の気を持つ男であり、惣三郎を衆道に引きずり込もうとしていた。隊士の中にも美男である惣三郎に言い寄る者が現れるなど、隊内の秩序を重んじる土方を悩ませる噂が流れた。土方が近藤にその事を話すが、近藤はあまり気に留めるどころか惣三郎を可愛がるような発言をした。腑に落ちない土方が、河原で子供に小魚をとらせて遊んでいる沖田に、隊士の男衆騒動についてどう思うか尋ねると、沖田は「そういう風潮は嫌いだ。」とキッパリと答える。ある日、近藤が広島に呼ばれ、今後について話し合いをするという。土方が沖田と留守を預かる。秋晴れの日、寺の前で居眠りをしている老人に惣三郎が注意すると、老人は飄々としている。刀を持つ老人に「流派は何か?」と聞くと老人は宗旨と勘違いするが、惣三郎が正すと「若先生やトシさんと同じだよ。」と穏やかに答えた。驚いた惣三郎は無礼を侘び、その場から立ち去る。すぐに仲間と談笑している沖田にその老人の正体を尋ねると、沖田は「井上さんだよ。近藤さんや土方さんと同じくらい偉い人だよ。まだ40歳前後で老人ではないよ。でも腕は近藤さんや土方さんよりかなり下だよ。」と答えた。
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