若くて美しい主任研修医のスーザンはボストン記念病院で働いている。彼女の恋人のマークも同じ地位の主任研修医として同じ病院で勤務している。ここは大病院で年間3万回以上、手術が行われている。ある日、スーザンの親友のナンシーが不倫の末妊娠、ごく平凡な中絶手術を同病院で受けることになった。ところがナンシーは手術を受けたあと覚醒せず昏睡状態(植物状態、脳死状態)に陥ってしまった。親友を失ったスーザンはひどくショックを受けた。スーザンとマークがナンシーのカルテを見ると担当医の名前も無くて組織適合検査をしていた。これは妙だと調べると、コンピュータが無作為に患者を選んでいて、そのサンプルをジェファーソン研究所に送っていることが判明する。また同時期に右ひざ関節の手術を受けた若い男性マーフィーも植物状態に陥るという事故が起きた。この一年昏睡状態の患者が外科だけで230人。これは変だと感じたスーザンは昏睡状態の人のカルテを見てみようと麻酔科医のジョージ部長にそれを頼んだのだが、けんもほろろに拒絶されてしまった。スーザンは恋人のマークに病院で陰謀が行われていると伝えたが、彼は「越権行為は止めろ、考え過ぎだ。」と、とりあってくれない。まもなく、スーザンは、外科部長のハリスから呼び出しを受ける。ハリスのところへ行ってみると、無断で調査を行っていることをとがめられた。スーザンは、何かが隠蔽されている匂いを感じるようになった。そして、過去の手術の記録を調べていて、すべての昏睡事故が決まって第8手術室でおきていることに気づいた。これは一体何を意味しているのか?スーザンが盛んに調べまわっていることに気づいた雑用係ケリーがスーザンに知らせたい事があるので地下のボイラー室へ来てほしい、と語りかけてきた。ほどなく、言われたとおりにボイラー室に行ってみると、ケリーは何者かに感電させられて死体になっていた。・・・



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大病院の陰謀を描くサスペンスです。医者の世界の独特な、暗黙の封建制度も垣間見える作品です。ですから刺激は少なく、ハラハラする所はスーザンが病院で殺し屋に追いかけまわされる所、そしてラストですね。オチは、手術の麻酔時に遠隔操作でバルブを変えて酸素の代わりに一酸化炭素を患者に流し込み、わざと昏睡状態(COMA)にする。その患者を植物人間対応の施設・ジェファーソン研究所に移送して、臓器売買のモルモットにして競売も使いながら全世界に販売する。これの黒幕の名前はジョージ。最初は麻酔科の部長ジョージの仕業と思いましたが、実は外科部長ハリスの仕業でした。彼の名はジョージ・A・ハリスでした。これを知らずに麻酔科医を告発しようとハリス部長に報告したスーザンは、薬で虫垂炎(盲腸)を引き起こされてハリスが手術することになります。手術室は一酸化炭素を送り込む配管がある第8手術室。朦朧とする意識の中スーザンは恋人マークに運命を託します。マークは以前に地下のボイラー室から第8手術室まで一酸化炭素の配管があるとスーザンから聞いていたので、ダッシュで地下に探しに行きます。中々見つからない中、おっとーー点検用梯子に、以前脱いで捨てたスーザンのパンティ・ストッキングがあるではありませんか。マークは即、その梯子を上がり配管をたどります。そして第8手術室の上のリモコンバルブ切り替え装置を破壊しました。何とかスーザンは昏睡にはならず目覚めました。当然昏睡だと思っていたハリス部長は愕然とします。ハリスは警察に同行を求められて、悪事は露呈しました。そんで幕。

1978年 アメリカ COMA ★★★★
監督、脚本:マイケル・クライトン
製作:マーティン・アーリックマン
原作:ロビン・クック
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
編集:デヴィッド・ブレサートン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド スーザン・ウィーラー医師
マイケル・ダグラス マーク・ベローズ医師
リチャード・ウィドマーク ハリス外科部長
リップ・トーン 麻酔科医ジョージ
ロイス・チャイルズ ナンシー