1940年、ロンドン。鉄道操車係ヘンリー・フェイバーが、下宿屋の夫人を刺殺した頃、同じロンドンの一角で戦闘機パイロットのデイビッドとルーシーが新婚旅行の途中自動車事故を起こし、デイビッドは両足を失う。1944年、4年前にドイツ軍の攻撃で妻を失った中世史研究家パーシー・ゴドリマンは、現在は敵スパイ探索の任務についており、ウィリーによろしくというラジオ通信で暗躍するドイツ・スパイの正体を探っていた。その頃、フェイバーはドイツの情報部員ミュラーからヒトラーの伝言で連合軍の上陸地点はノルマンディーか?バドカレーか?を知りたいというのを聞き、その後ゴドリマン達につけられてたミュラーを殺した。フェイバーこそヒトラーが頼る最大のスパイ・ニードルであり、例のウィリーの発信者でもあったのだ。



フェイバーは早速イースト・アングリアの基地に飛び、偽飛行機の事実をつかんだ。木製の爆撃機、戦闘機が多数横たわり、いかにもパットン将軍のバドカレー進攻を目ざしているように偽装してあるのだ。ノルマンディーが上陸地点であることを掴み、その証拠をカメラに収めたフェイバーは、ヒトラーの元へと急いだ。その後を追うゴドリマン一派。やがて、スコットランドのオーバン海岸からUボートに向かったフェイバーの船は途中嵐で転覆し、荒涼たるストーム島の一軒家にたどり着いた。その家こそ、デイビッドとルーシー夫妻が3歳の息子ジョーと共に暮らしている家だった。両足を失って、拗ねて世捨て人になったデイビッドからは、すでに愛を得ていなかったルーシーは、突然の閃入者フェイバーに胸が高鳴るのを感じる。その夜、何も知らないルーシーはフェイバーと愛を交わした。翌朝フェイバーの挙動に疑問を抱いたデイビッドは彼をトムのいる灯台におびき出しライフルを突き付けて問いつめたが、乱闘になり断崖から突き落とされた。その翌日、ルーシーと息子ジョーはデイビッドの溺死体を発見。その後、フェイバーは「デイビッドなら、さっき話してトムのところにいるよ。」という嘘をつく。彼女はフェイバーの恐ろしい正体に気付きだす。ルーシーは気づかれないように再度フェイバーとセックスしてから、トムの灯台の小屋に息子とこもる。死にもの狂いでSOSを打電している時、スパイに戻った非情なフェイバーが内部侵入をはかる。鍵をはずそうと窓から手を入れたところをルーシーに斧で指を切り落とされた。傷ついたフェイバーは無線を使ってUボートに位置を知らせようとするが、電気をショートさせて、それをも阻止するルーシー。電波を絶たれたフェイバーは、ルーシーに「戦争のせいだよ、さようなら。」と言ってUボートのいる沖合を目指そうとボートに向かう。ルーシーは突然拳銃を持って飛び出して、泣き叫びながらフェイバーに全弾を撃つ。海に出て数メートル離れた所、フェイバーはボートの中で死んだ。・・・幕

ノルマンディー上陸作戦という歴史的事実を背景に、ニードル(針)と呼ばれたドイツ・スパイの行動を描くサスペンス映画です。冷静冷徹なスパイを渋さ満点のドナルド・サザーランドが好演しています。オイラが特にハラハラしたシーンは、フェイバーがビリーに追われる列車のシーン、そしてラストですね。そして、ルーシーと寝て、朝寝過ごしてUボートに連絡が取れなくなる(Uボートへの連絡は毎日18時から翌朝6時まで、1週間で終わりですから)間抜けな人間らしいフェイバーもいますよ。まっ、それで救出が1日遅れて、彼は殺されちゃうんですがね、、、。

1981年 イギリス・アメリカ EYE OF THE NEEDLE ★★★★
監督:リチャード・マーカンド
製作:スティーヴン・フリードマン
原作:ケン・フォレット
脚本:スタンリー・マン
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ミクロス・ローザ
出演:ドナルド・サザーランド ハインリッヒ・フェイバー
ケイト・ネリガン ルーシー・ローズ
クリストファー・カザノフ デイヴィッド・ローズ、ルーシーの夫
イアン・バネン パーシー・ゴドリマン
フィリップ・マーティン・ブラウン ビリー・パーキン、フェイバーを尊敬してて陸軍に入隊。ゴドリマンの写真面通しでフェイバーを特定する。列車内でフェイバーを追うが、気づかれて殺される。
スティーヴン・マッケンナ 大尉
ルパート・フレイザー ミュラー