前編
戦国時代末期のとある山間の農村。村人たちは戦によりあぶれて盗賊と化した野武士(百姓たちは「野伏せり」と呼ぶ)たちに始終おびえていた。春、山に現れた野武士達の話を盗み聞いた者がおり、その年も麦が実ると同時に40騎の野武士達が村へ略奪に来ることが判明する。これまでの経験から代官は今回も頼りにならないことは明白であり、村人たちは絶望のどん底に叩き落とされていたが、若い百姓の利吉は野武士と戦うことを主張。村人たちは怖気づいて反対するが、長老儀作は戦うことを選択し「食い詰めて腹を空かした侍」を雇うことを提案する。力を貸してくれる侍を求めて宿場町に出た利吉・茂助・万造・与平の4人は、木賃宿に滞在しながら白米を腹いっぱい食わせることを条件として侍らに声をかけるが、ことごとく断られ途方にくれる。そんな中、近隣の農家に盗賊が押し入り、子供を人質にとって立てこもる事件が発生する。周囲の者が手をこまねく中、通りかかった初老の侍が僧に扮して乗り込み、子供を救い出すと同時に盗賊を斬り捨てる。侍は島田勘兵衛という浪人で、騒ぎを見ていた得体の知れない浪人風の男が絡んだり、若侍の岡本勝四郎が弟子入り志願したりする中、利吉が野武士退治を頼みこむ。勘兵衛は飯を食わせるだけでは無理だと一蹴、村の概要を聞くに仮に引き受けるとしても、侍が7人は必要だという。しかし、これを聞いていた同宿の人足たちが、これまで利吉ら百姓を馬鹿にしていたにもかかわらず、百姓の苦衷を分かっていながら行動しない勘兵衛を詰る。勘兵衛は翻意して、この困難かつ金や出世とは無縁の依頼を引き受けることを決意する。「この飯、おろそかには食わんぞ」共に闘う侍を求める勘兵衛の下に、勘兵衛の人柄に惹かれたという五郎兵衛、勘兵衛のかつての相棒七郎次、気さくなふざけ屋の平八、剣術に秀でた久蔵が集う。さらに利吉達の強い願いで、まだ子供だとして数に入っていなかった勝四郎も6人目として迎えられる。7人目をあきらめて村に翌日出立しようとしたところに、例の得体の知れない浪人風の男が泥酔して現れる。男は家系図を手に菊千代と名乗り侍であることを主張するが、勘兵衛らに家系図が他人のものであることを見破られてからかわれる。勘兵衛らは菊千代を相手にしないまま村に向かうが、菊千代は勝手について来る。一行は村に到着するが、先に帰ってきていた万造が「侍が来たら何をされるかわからない」と、強制的に娘の志乃の髪を切って男装させてしまったこともあって、村人たちは怯えて姿を見せようとしない。一行がとりあえず儀作に面会する中、危急を知らせる盤木の音が鳴り響くや、野武士襲来と勘違いした村人は一斉に家を飛び出し侍に助けを求める。これは菊千代の仕業であった。侍たちと村人たちとの顔合わせを成立させたことで、菊千代は侍の7人目として認められる。勘兵衛たちは村の周囲を巡り、村の防御方法を考案し、百姓たちも戦いの為に組分けされ、侍達の指導により戦いの心得を教えられる。一方、勝四郎は男装させられていた志乃と山の中で出会い、互いに惹かれてゆく。そんな折、菊千代が村人らから集めた刀や鎧を侍らの元に持ち込んでくる。それは村人が落ち武者狩りによって入手したものだった。負け戦での辛酸を舐めてきた侍たちはこれを見て気色ばむが、菊千代は「お前たち、百姓を仏様だと思っていたか。百姓ほど悪ズレした生き物はないんだ。でもそうさせたのはお前ら侍だ。」と激昂する。菊千代は、侍にあこがれ村を飛び出した百姓の出だったのだ。彼の出自と農民の事情を察した侍達は怒りを収める。村人は侍の指導の下で村の防衛線を固めるが、村はずれの数軒の家はどうしても防衛線の外になってしまう。守りきれない離れ家は引き払って欲しいとの申し出を聞いた茂助は、自分たちの家だけを守ろうと結束を乱す。それに対し勘兵衛は抜刀して追い立て、村人に改めて戦の心構えを説く。



後編
初夏、麦刈りが行われ、しばしの平和な時も束の間、ついに物見(偵察)の野武士3人が現れる。物見を捕らえ、本拠のありかを聞き出した侍達は、先手を打つため利吉の案内で野武士の本拠へと赴き、焼き討ちを図る。侍たちはあぶりだされた野武士数人を切り伏せ、囲われていた女たちを逃すが、その中の美しく着飾ったひとりは、野武士に奪われた利吉の女房だった。利吉の姿に気づいた彼女は火の中へ再び飛び込む。それを追おうとする利吉を引き留めた平八は野武士の銃弾に倒れる。村に戻り、皆が平八の死を悼む中、菊千代は平八が作り上げた旗を村の中心に高く掲げる。それと同時に野武士達が村へ来襲、戦いの幕が切って落とされる。築いた柵と堀によって野武士の侵入は防がれたものの、防衛線の外側にある離れ家と長老の水車小屋には次々と火が放たれる。水車小屋から動こうとしない儀作を引き戻そうとした息子夫婦も野武士の手にかかる。唯一助かった赤子を抱き上げる菊千代は「こいつは俺だ」と号泣する。夜半から朝へと時は流れる中、勘兵衛の地形を生かした作戦が功を奏し、侍と村人は野武士を分断し徐々にその数を減らしていく。しかし、種子島(火縄銃)をひとりで分捕ってきた久蔵を勝四郎が「本当の侍」と評したことから、菊千代は対抗意識を燃やして持ち場を離れ、単独で野武士を襲撃する。菊千代は種子島を持ち帰って来たものの、不在にしていた持ち場が野武士による襲撃を受け、さらに野武士の流鏑馬(騎射兵)が村に入り込んだため、与平を含む多くの村人が戦死し、侍のうち五郎兵衛も斃れる。日が暮れ戦いは一時やむ。相次ぐ戦いで村人らも疲弊するが、本拠を焼け出されたうえに数を減らされ、追い詰められて焦っている野武士達も明日は死に物狂いで来るだろうことが予想された。その夜、勝四郎は志乃に誘われ、悲壮感の中で初めて体を重ねる。その場を見咎めた万造が激高し騒動となるが、妻を喪った利吉が野武士にくれてやったのとは訳が違うと万造に一喝して場を収める。豪雨が降りしきる中夜が明け、残る13騎の野武士が襲来する。勘兵衛はあえてこれらをすべて村に入れたうえで包囲し、決戦が始まる。野武士らは1騎また1騎と討ち取られていくが、野武士の頭目は密かに村の女子供が隠れていた家に入り込む。大勢が決したころ、久蔵が小屋に潜んでいた頭目が放った銃弾によって斃れる。続いて菊千代も撃たれるが、菊千代は鬼気迫る迫力で追いつめた頭目を刺し殺し、自らもその場で果て野武士はついに壊滅する。野武士を撃退した村には平穏な日常が戻り、晴れ空の下で村人は笛や太鼓で囃しながら田植にいそしむ。活力に満ちて新たな生活を切り拓いていく村人たちとは対照的に、その様子を見つめる生き残った3人の侍の表情は浮かない。侍たちの横を田植に向かう村の娘たちが通り過ぎていく。その中に志乃がおり、勝四郎を見て躊躇うが、何も言わずに振り切って田に駆け込む。そのまま田植歌を口ずさみながら、勝四郎を忘れるように志乃は一心に苗を植えていく。勘兵衛がつぶやく。「今度もまた、負け戦だったな」怪訝な顔をする七郎次に対して「勝ったのはあの百姓たちだ、わしたちではない」と述べて勘兵衛は墓地の丘を見上げる。その頂上には、墓標代わりに刀が突きたてられた4つの土饅頭があった。・・・幕

荒野の七人の原型となった黒澤明監督作品。超有名ですが、時代的に古いモノクロ作品ですから、あまり期待していなかったです。能を見るというか?高尚な時代劇と思って見始めました。確かに方言なのか言葉が聞き取りにくい所が結構ありましたが、脚本的には面白かったです。百姓の村を城に見立てて防御策を講じる賢いリーダーの志村喬、とか、コミカルで豪快な三船敏郎の演技も楽しかったですね。

1954年 日本 Seven Samurai
監督 :黒澤明
製作:本木荘二郎
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
撮影:中井朝一
編集:岩下広一
音楽:早坂文雄
出演:志村喬 島田勘兵衛
三船敏郎 菊千代
木村功 岡本勝四郎
宮口精二 久蔵
加東大介 七郎次、かつての勘兵衛の最も忠実な股肱。過去の戦(負け戦)で勘兵衛と離れ離れになった後、物売りとして過ごしていた。
千秋実 林田平八、茶店で代金代わりに薪割りをしているところを五郎兵衛に誘われる。
稲葉義男 片山五郎兵衛、勘兵衛のNo2。
津島恵子 志乃、決戦前夜に大好きな勝四郎を誘う。
土屋嘉男 利吉
藤原釜足 万造、志乃の父。親心から娘を守ろうと、泣き叫ぶ志乃の髪を切って無理矢理男装させる。