1617年 …元和(げんな)3年3月。江戸幕府は市内数か所に散在していた遊女屋を、葺屋 ( ふきや ) 町(現在の日本橋人形町)付近に、一か所に纏めた。その辺りは当時、葦(よし、ススキの事)や茅(かや)などの植物が数多く茂っていたため「葦の原」が転じて「吉原」と言われたのである。だが1657年の明暦の大火により吉原は山谷付近(現在の台東区千束)に移転した。東西約350メートル。南北約270メートル。周囲をお歯黒ドブと呼ばれた堀に囲まれた約2万7百坪あまりの土地に数百件の遊郭がひしめき、一万人あまりの人が暮らし、最盛期には3千人近い「花魁(おいらん)」と呼ばれた遊女たちを抱えていた吉原。その吉原へ行くための道には、2つの呼び名があった。1つは「男が通う極楽道。」そして、もう1つは「女が売られる地獄道。」
明治40年4月。女衒(ぜげん)の鈴木幾松の仲介により、売られて来た内田久野は、幾松に「あれが有名な吉原の大門(おおもん)だ。」と教わった。そして故郷から付き添って来た母と共にその門をくぐって吉原に入った。門をくぐって、すぐの大通りは「中野町通りと言って吉原の目抜き通りだ。」と幾松が説明する。季節は春たけなわで、そよぐ風が程よい間隔を置いて植えられた満開の桜の花びらを散らしていた。その美しさもさる事ながら優しい桜の香りが鼻先をくすぐり、久野がこれから入る地獄のような世界とは裏腹な安らいだ印象を齎していた。桜はよそから持って来て春の間だけ移植され、春が過ぎると、また元の地に戻される。いわゆる吉原の顧客サービスの一環であった。・・・

完全ネタバレは、このサイトををご覧ください。
テレビドラマですから、ヌードシーンは無しの吉原遊郭のお話。田中芳之プロデューサーも「ヌードシーン無しで、悲しい境遇でも強く生きる女性の姿を描くことで、現代の女性にも共感してもらえるドラマにしたかった」と制作方針を話していたとか。でもオイラ達男にとっては、少し位は欲しよねぇ、笑。主演の観月ありささんの変貌(すっぴんと花魁)、色気の違いは強烈だけど、やはり年が若いだけ有ってねぇ、、オイラは左京役の有森也実さんのが好みかな。あと、この前見た名倉版とは、脚本が少し違う所も有ります。気づいた点を記載します。
若汐は妊娠はしないし子供はおろさない。子供をおろしたのは雪乃だった。
若汐は結婚の約束をした幼馴染・岡部勇吉に吉原で再会して買われる。彼は年季が明けたら結婚しようと言い、その言葉を信じていたが、ある日雪乃から騙されたことを教えられる。大倉に道を尋ね、彼に会いに行くと、彼は海産物問屋に婿養子して妻子持ちだった。「俺の久野は吉原に行った時に死んだ」と言われ絶望。そして笑わぬ花魁・若汐、後の紫として気合で立ち上がる。
吉原ナンバー1の廓(くるわ)である近江楼が廃業して、近江楼のお職・白妙以下10名を夕凪楼が身受けする。紫は仕方なく2枚目に降格させられる。
紫と白妙は反目し合うが、白妙の病気を機に誤解を解き、また昔のような友達に戻る。
鶴尾は花魁道中をする紫を見て嫉妬して吉原に放火して燃えつくす。白妙は紫に感謝を述べて炎の中で花魁道中して自殺する。
大倉は紫をずっと待っていて、自力で吉原を抜けてきた紫と結婚して子を授かった。



テレビ朝日系列で2007年12月29日に放送 Tokyo Bordello ★★
原作:斎藤真一「吉原炎上」(文藝春秋刊)「明治吉原細見記」(河出書房新社刊)
プロデューサー:田中芳之(テレビ朝日)、島田薫(東映)
監督:猪原達三
脚本:橋本綾
音楽:西村由紀江
音楽プロデューサー:伊藤圭一
撮影:田中勇二
制作:テレビ朝日、東映
出演:観月ありさ 内田久野(若汐・紫)
東幹久 大倉修一郎、、外務省の英国担当、若汐に惚れる。
星野真里 浅井雪乃(白妙)久野の友達だったが近江楼のお職となる。
国生さゆり 如月、夕凪楼、客と服毒自殺してしまう。
有森也実 左京、夕凪楼のお職。客に病気を移されて夕凪楼を辞めさせられ、東河岸の羅生門河岸の安女郎屋で働き、どぶ川で死ぬ。
井上和香 花里、夕凪楼の二枚目、振られた客の怒りをかい殺される。
藤真利子 お兼、夕凪楼の研修役や監視役
白川由美 赤倉スマ、夕凪楼の女将さん
藤田まこと 赤倉鉄之助、夕凪楼の店主
林泰文 岡部勇吉、内田久野と結婚の約束をした幼馴染。
宮本真希 鶴尾、足抜けしようとして捕まり首を切って死のうとしたが生き残り、東河岸の羅生門河岸の安女郎屋で働く。左京の最期を知っていた。鶴尾は花魁道中をする紫を見て嫉妬して吉原に放火する。