尼崎の藤波組では二代目の急死により霊代の加奈江が事実上の統率をしていた。加奈江には妹の頼子と二人の子供・雅美、直也がいた。頼子の夫は現在拘留中の藤波組若頭・松岡。雅美の夫・宗田は武闘派からビジネスヤクザに転換を勧める藤波組の本部長、そして直也は最近自分の組を興し、藤竜会の会長になっていた。松岡が出所となり、加奈江は三代目に松岡を推し二代目霊代から退こうとしていたが、その矢先に松岡は香港で殺され海に浮かぶ。それによって藤波組は大きく揺れ動く。加奈江は三代目候補に宗田を選んだ。それを知った直也はこの機会を逃すまいと緊急幹部会の席上で、宗田を押す幹部を相手取り三代目に立候補した。



そんな血気さかんな直也も女子大生の葉子と会っている時だけは気持ちが安らいだが、初めて寝た朝、背中の入れ墨を見られ極道であることを気付かれ、突然の破局を迎えてしまう。落ち込んだ直也は、それを晴らすかのように藤竜会会長としての貫録をつけ藤波組の威光を使い、前田組を吸収した。しかし、皮肉にも対立する神原組系列の組織と前田組が盃を交わしたことにより、藤竜会と前田組の間に抗争が起きる。加奈江は単独で神原組に乗り込み、藤竜会の解散と直也の引退を条件に、この戦争を終結させようとするが、それを受け入れようとはしない直也の余りにも強い意志についに加奈江は屈した。加奈江は母子の絆を断ち切り、緊急幹部会で三代目に直也を、若頭に宗田を決定し、藤波組は神原組と戦争を始めようとしていた。だが、それを察知した警察権力の介入で直也に逮捕状が出た。一方、弁護士協会から懲戒勧告を受けた組の顧問弁護士・美佐子も藤波組と心中する腹を決めていた。直也の警察への護送ルートは事前に美佐子しか知らなかったが、宗田は美佐子からそれを聞き出し直也は前田組の待ち伏せに合い死んだ。加奈江は宗田が神原組幹部の地位と引き換えに松岡と直也を殺したことを知った。そして加奈江は宗田の4代目のパーティーを身内だけで行うとして、嫁で娘の雅美を東京の伯母の所へやり、宗田にロシアンルーレットせいと言った。宗田は弾の入ってない拳銃を加奈江に向けたが意味は無し。殿山らが始末に来たが逆に返り討ちにした宗田。そして廊下で加奈子を狙った時、後ろから美佐子が宗田に銃弾を浴びせた。そして、2人の葬儀へ向かう神原組の角谷の車に加奈子の鉄砲玉・飯田がマシンガンをもって仕留めに行ったのだった。・・・幕

高嶋政宏の極道ぶり、凄さはイマイチだけど若いだけ有って、気張ってますなぁ。藤波組は桑名正博、西岡徳馬とあまり強面がいません。そんな中、綿引勝彦の仁義を感じる心が気持ち良いです。物語は女の視点から見た極道は一緒ですが、ドンパチ駆け引きよりも、直也が好きな女子大生・葉子(あまり美人じゃないところが、やけに素人っぽいですね。)と息子を死なせたくない母・加奈江が何とか極道を止めさせようと説得してます。こういうシーンはちょっとメロドラマっぽい雰囲気も有りました。あとラストの、高嶋政宏が桑名正博にはめられる事、志麻姉さんの怒り爆発は想定内でしたので、びっくり感は無かったです。

1991年 日本・東映 ★★☆
監督:中島貞夫
プロデューサー:奈村協 、 天野和人
原作:家田荘子
脚本:那須真知子
企画:下部五朗
撮影:木村大作
音楽:小笠原寛
主題歌:ジェフリー・ジェムス
出演:岩下志麻 藤波加奈江
かたせ梨乃 桐島美佐子、藤波組顧問の弁護士
高嶋政宏 藤波直也
海野圭子 氏家葉子、直也が惚れる女子大3回生
桑名正博 宗田義人、藤波組本部長だが、裏切り者。
藤奈津子 宗田雅美、直也の姉で、宗田の妻
曽根晴美 松岡龍三、二代目が死んだ時、藤波組の若頭。香港で殺される。
新藤恵美 松岡頼子、松岡の妻
西岡徳馬 国井勝次、藤波組若頭、三代目・宗田と対立。
綿引勝彦 殿山誠、藤竜会、藤波直也のお目付け役。
三上真一郎 矢内一重、藤波組、直也のおじき
夏八木勲 角谷孝、神原組系列
石橋蓮司 若原刑事
西田健 大沢検事