1939年9月、ポーランドのワルシャワ。ナチス・ドイツが侵攻したこの日、ウワディクことウワディスワフ・シュピルマンはワルシャワのラジオ局でショパンを演奏していた。街はドイツ軍に占拠され、1940年10月31日ユダヤ人をゲットー(ユダヤ人居住区)へ強制移住させるなどの迫害が始まる。シュピルマン家も住み慣れた家を追われる。友達のヘラーはユダヤ人警察に入っており、彼の口利きでゲットー内のカフェで警察のジャズバンドの職を得た彼は、様々な迫害に遭いながらも静かに時をやり過ごす。しかし、1942年8月16日一家を含む大量のユダヤ人が収容所へと向かう列車に乗せられる。その時、ヘラーが列車に乗り込もうとしていたウワディクを引き留めて、早く逃げろと言った。・・・


第55回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞、アカデミー賞の監督賞、脚色賞、主演男優賞の3部門受賞の感動ドラマ。実在のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの実体験を綴った回想録を基に、戦火を奇跡的に生き延びたピアニストと、その生還に関わった人々の姿を、過剰な演出を抑え事実に基づき静かに描いています。

ところで、主人公のピアニスト、ウワディクは、普通なら一体何回死んでるのでしょうか?
もうこれは、神の思し召しと思えるほど、みんなが助けてくれたのです。
さて、彼が助けてもらったシーンを列記します。
ゲットー内のユダヤ人警察のヘラーが、警察のジャズバンドのピアニストの仕事をくれる。
地下活動家の元軍人のマヨレクが、父の為に雇用証明書を作る口利きをしてくれる。
友人のヘラー警察署長が、捕まった弟ヘンリクを見逃してくれた。
ヘラーがウワディクだけ強制収容所行きを、止めさせて助けてくれた。
ゲットー内での強制労働所で、レンガ運びで倒れて仲間が軽い仕事に変えてくれた。
強制労働所で再びあったマヨレクが手引きして脱走成功。ヤニナに匿ってもらい、地下組織のマレクが新しい隠れ家を用意してくれた。食事はヤニナが週2回運ぶ。
マレクが捕まり、ミカル・ジキェヴィッチの家に逃げこむと、なんとミカルの妻は知人のドロタだった。ミカルは世話係のシャワスを紹介してくれた。(シャワスはウワディクの名前を使って寄付を集めて盗んでいた。)
廃墟の中で孤立無援となった時、ドイツ軍将校ヴィルム・ホーゼンフェルトに見つかるが、ピアノを弾いたら見逃してくれて、パンやコートを与えてくれた。
ソ連軍がポーランドに侵攻、ナチを追い出してくれて助けてくれた。
そしてウワディクはピアニストとして復活して、2000年88歳まで生きました。

2002年 フランス・ドイツ・イギリス・ポーランド合作 The Pianist ★★★★
監督:ロマン・ポランスキー、監督自身もゲットーで過ごした過酷な体験を持つ。
製作:ロベール・ベンムッサ、ロマン・ポランスキー、アラン・サルド
原作:ウワディスワフ・シュピルマン
脚本:ロナルド・ハーウッド、ロマン・ポランスキー
撮影:パヴェウ・エデルマン
音楽:ヴォイチェフ・キラール
出演:エイドリアン・ブロディ ウワディスワフ(ウワディク)・シュピルマン
トーマス・クレッチマン ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉、ウワディクを助けるナチの将校。
エミリア・フォックス ドロタ、ユーレクの妹でチェロ奏者。
ミハウ・ジェブロフスキー ユーレク、ウワディクの友人のポーランド人。
エド・ストッパード ヘンリク、ウワディクの弟
モーリン・リップマン ウワディクの母
フランク・フィンレイ ウワディクの父
ジェシカ・ケイト・マイヤー ハリーナ、ウワディクの妹
ジュリア・レイナー レギーナ
ルース・プラット ヤニナ、ポーランド人
ロナン・ヴィバート ヤニナの夫、アンジェイ、反ナチ地下活動組織の一員。
ヴァレンタイン・ペルカ ドロタの夫、ミカル・ジキェヴィッチ。