かつて幼少時代を同じ孤児院で過ごしたアリーナとヴォイキツァ。ドイツに出稼ぎに行っていたアリーナは、修道院にいるヴォイキツァを訪ねて冬のルーマニアに戻ってくる。アリーナの願いは、世界でただひとり愛するヴォイキツァと一緒に居ること。しかし、ヴォイキツァはアリーナに去られて超孤独になった時、神の愛に目覚めて修道院での暮らしに満ち足りていたのだ。再び彼女を取り戻そうとするアリーナは自己中が激しくなり、次第に精神を患っていく。静かで穏やかな生活を営んでいた修道女たちを戸惑わせ混乱させるアリーナ。ついに修道院は、彼女の病が悪魔の仕業であるとみなし、彼女を救うべくある悪魔祓いの決断を下すのだった。 ・・・


ルーマニア正教会修道院のストイックで地味な生活が描かれてて、そこにヴォイキツァの友達アリーナがやって来ます。アリーナはヴォイキツァに付きまとって、外で一緒に暮らそうと誘いますが、ヴォイキツァは信仰に目覚めてて、その気は全くありません。そう言うと寂しいとか孤独だと騒ぐんですけど、元々ヴォイキツァを捨ててドイツへ行ったのはアリーナであり、余りに身勝手な話です。そんな身勝手女のお世話が105分も続いて、家に火をつけるは、暴れるは、殺すと叫ぶは、滅茶苦茶になっていき悪魔祓いを実行。病院に入れても追い返され、里親にも帰りたくない。寒空に放置したら死ぬし。修道院という場所柄、この選択はやむを得ないとも思えます。そして、アリーナは最後に安らかになり、ヴォイキツァの顔を見たら死にました。そして神父さんらが警察に捕まって幕なんですが、この話は実話でした。この映画を見る限りは、アリーナは全く人騒がせ千万です。劇中で「主教様に壁画が無いと祝聖してもらえない」と神父さんが言ってますので、わざとこの教会が悪魔に狙われたかもしれませんね。みんな捕まって、ふと思いました。
以下、夢は洋画をかけ廻るを引用。
実際に起こった事件は、2005年にルーマニアの片田舎の修道院に友人を訪ねてやってきた当時23歳の女性が、悪魔祓いと伝えられる行為によって亡くなったものです。女性は修道院で発作を起こし、医師には統合失調症と診断されましたが、修道院では彼女の病が悪魔の仕業だと考えられました。彼女を救うために、悪魔祓いの儀式が二昼夜続けられ、その結果、急性心肺不全が原因で死亡、儀式に関わった神父と4人の修道女は、不法監禁致死罪で逮捕され、2008年の裁判の結果、神父たちには実刑が下されました。彼らは現在、出所していますが、再び僧衣を着ることは認められていません。

2012年 ルーマニア・フランス・ベルギー合作 Dupa dealuri ★★☆
監督:クリスティアン・ムンジウ
原案:タティアナ・ニクレスク・ブラン
脚本:クリスティアン・ムンジウ
撮影:オレグ・ムトゥ
出演:コスミナ・ストラタン ヴォイキツァ
クリスティナ・フルトゥル アリーナ
バレリウ・アンドリウツァ 司祭
ダナ・タラパガ 修道女長