両親を自動車事故で亡くした幼い姉弟が暮らす田舎の屋敷ブライ邸。下男のクイントは無学で野卑な男だったが、二人にとっては良き理解者で雑学の先生だ。クイントは子供たちの家庭教師ジェスルを力ずくで犯したが、犯されたジェスルもだんだんSMに目覚めてクイントを愛する。だが子供たちへの影響を懸念した老家政婦グロース夫人が二人の仲を裂こうとした時、姉弟は二人を永遠に結ばせようとする。・・・


「回転」としても映画化されたヘンリー・ジェームズの『ねじの回転』の前日談を描いています。前日談とは前作「回転」のどれくらい前か考えました。まず「回転」の中ではギデンズさんが来る1年ほど前に、ジェスルとクイントは死んだと言ってます。でも、本作のラストではジェスルが死んだ日の翌日(この日はクイントが死んだ日。死ぬ順番も前作とは逆です。前作ではクイントが階段から落ちて死んだあと、ジェスルが入水自殺とグロース夫人が言っていました。)に、次の家庭教師が訪れてます。ですから、最後に現れる家庭教師がギデンスなら、前作と辻褄が合ってないです。仮にギデンスさんの前、ジェスルさんとの間にもう一人別の家庭教師がいたなら、辻褄は合いますけどね。まあ、とりあえず、前作の1年以上前の話と考えましょう。他の相違点は「回転」では兄妹だったのが、本作では逆で姉弟になってました。
さて、オチですが、前作でもほのかに匂っていたクイントとジェスルの仲は、やはりSMセックスでした。(ビーチャムの胸もしっかり見れます。)それを、のぞき見して純粋にゲームとして真似ている2人の兄妹という下りも前作と同じで話は進みます。その後クイントの教えを鵜呑みにする子供たちが、だんだん恐くなっていきます。クイントの教えとは、「人は死んでも何処へも行かない。天国や地獄なんか無い。人は死んでも家に残り、生前愛した人は死んでも、また会って愛し合うんだ。」そしてSMセックスがばれたジェスルらは、グロース夫人がロンドンの叔父さんに手紙を書いて首になります。そして、クライマックス。まず妹フローラが偽の手紙でクイントが会いたいと言っていると、ジェスルを湖の対岸におびき出します。ボートは事前にマイルスが穴をあけてあり、泳げないジェスルは湖の真ん中で溺れ死んでしまいました。そして、ジェスルの死体を湖畔で見つけたクイントは弓矢で、体と頭をマイルスに射られ殺されました。子供たちは、2人が死んであの世で愛し合ってると思い幸せな気分になりました。そして新しい家庭教師(名前は出ていない)が来て、幕でした。クイントとジェセルは、なんと子供たちに殺されていたのでした。「回転」のように、死んだクイントとジェセルが乗り移って、おかしくなったんじゃなくて、実は初めからサイコのような自己中の子供たちだったのです。ああっ、恐ろしやって感じです。

1971年 イギリス映画 THE NIGHTCOMERS ★★
監督:マイケル・ウィナー
製作:アラン・ラッド・Jr
原作:ヘンリー・ジェームズ
脚本:マイケル・ヘイスティングス
撮影:ロバート・ペインター
音楽:ジェリー・フィールディング
出演:マーロン・ブランド ピーター・クイント
ステファニー・ビーチャム マーガレット・ジェスル
ゾーラ・ハード グロース夫人
ハリー・アンドリュース マイルスらの叔父さん
ヴァーナ・ハーヴェイ フローラ、マイルスの姉
クリストファー・エリス マイルス
アンナ・パーク 新しい家庭教師