第1章『その昔…ナチ占領下のフランスで』
1941年、第二次世界大戦中のドイツ軍占領下のフランスの田園地帯。この地に赴任した「ユダヤ・ハンター」の異名をとるナチス親衛隊のハンス・ランダ大佐は、行方不明になっているユダヤ人一家の手がかりを得るために酪農家のラパディットを尋問する。床下にその一家が匿われていることを突き止めると、部下に命じて床板越しにマシンガンで皆殺しにさせるが、ただ一人、娘のショシャナだけは逃げ出すことに成功する。ランダは走り去るショシャナの背中に向けてピストルを構えるが、引き金を引く代わりに別れの言葉を叫ぶ。
第2章『名誉なき野郎ども』
1944年春、アルド・レイン米陸軍中尉はユダヤ系アメリカ人8名からなる秘密特殊部隊を組織していた。レインが部下に説明する任務とは市民にまぎれて敵地奥深くに潜入しドイツ人を血祭りにあげることであった。捕虜はとらないという方針の下、拷問を加えた上で殺害しレインの祖先でもあるアパッチ族の慣わしに倣って各員が100人のドイツ軍兵士から頭皮を剥ぐよう命じる。一方、ドイツ軍の間ではレインの部隊は「バスターズ」の名前で知れ渡っており、その活躍は生存者を通してアドルフ・ヒトラー総統にも伝えられえる。「ユダヤの熊」こと軍曹ドニーは、協力を拒むドイツ軍下士官をバットで撲殺する。レインは唯一の生き残りのドイツ兵の額に一生消えないハーケンクロイツの傷をナイフで刻んだ上で解放する。またバスターズはドイツ軍兵士でありながらゲシュタポ将校13名を殺害して監獄に入れられていたスティグリッツを救出して仲間に引き入れる。
第3章『パリにおけるドイツの宵』
1944年6月、パリ。ショシャナは亡くなった叔父夫妻から映画館の経営を引き継いだ、身寄りのないうら若き女性映画館主エマニュエル・ミミューという別人に成りすましていた。ショシャナに想いを寄せるドイツ軍狙撃兵フレデリックは、彼のイタリア戦線での活躍をプロパガンダ映画『国家の誇り』に仕立て上げたヨーゼフ・ゲッベルス宣伝相にショシャナを無理やり引き合わせて、映画のプレミア上映会にショシャナの劇場を使用するようゲッベルスを説得する。そのビストロでの会食の場に、ショシャナの家族を皆殺しにしたランダ大佐が現れショシャナは緊張する。ゲッベルスとの話し合いが済むと、ランダはショシャナ一人を残らせて彼女の生い立ちや劇場について尋問するが、最後までエマニュエルがショシャナだとは気付かない。ランダが立ち去ると、ショシャナは極度の緊張から解き放たれ一人静かに泣く。その後、家族を殺された復讐にプレミア上映会に集うナチス高官をニトロセルロース・フィルムを使って、劇場もろとも焼き尽くすことを思いつく。


第4章『映画館作戦』
ドイツ軍およびナチス党高官が一堂に会するプレミア上映会の情報は英軍もつかんでいた。フェネク将軍はドイツ語と映画史に堪能なヒコックス中尉を呼び出しチャーチル首相もいる場で、ドイツ人高官ごと劇場を爆破するキノ(映画館)作戦について説明する。ヒコックスはドイツ語のできるバスターズのメンバーとともに、フランスの田舎町にあるバーをドイツ軍将校に扮して訪れる。そこで作戦を手引きするドイツ人人気女優でイギリスのスパイでもあるブリジットとランデブーする手はずであったが、バーにはその日に限って子供が生まれたドイツ軍兵士ヴィルヘルムとそれ祝う仲間が集っていた。ブリジットはドイツ軍兵士から息子の誕生祝いにと、サインをせがまれる。ヒコックスは、その不自然なドイツ語訛りをドイツ軍兵士に不審がられ、さらに飲み物を頼む仕草が決め手となって、その場に居合わせたゲシュタポのヘルシュトローム少佐にドイツ人ではないことを見破られてしまう。ヒコックスが開き直ると、バーのマスターとウェイトレスも巻き込んだ銃撃戦になり、足に銃弾を受けながらもブリジットだけが生き残る。ブリジットに裏切られたと思ったレインは近くの動物病院で拷問を加えるが、ドイツ軍兵士達が居合わせたのは単なる偶然だという説明に納得する。さらにブリジットはレインたちにプレミア上映会には総統も出席するという新情報を伝える。ドイツ語ができるメンバーを失ったバスターズは、レイン、ドニー、オマーがドイツの同盟国のイタリア人の振りをしてブリジットを上映会にエスコートすることを決める。後にバーを捜索したランダ大佐は、ハイヒールとブリジットのサイン入りナプキンを発見する。
第5章『巨大な顔の逆襲』
『国家の誇り』プレミア上映会に続々とドイツ人高官が集まってくる。警備に当たるランダ大佐は、疑いをかけるブリジットの「イタリア人」エスコートたちに堪能なイタリア語で話しかける。ランダはブリジットを別室に連れ出していすに座らせると、バーで見つけたハイヒールを試着させる。サイズが合うことを確かめたランダは、ブリジットに飛び掛り絞め殺す。さらにロビーで待つレインと外で待機していたウティヴィッチを逮捕して連行すると、無線でレインの上官と掛け合い劇場に残るドニーとオマーにナチス高官の暗殺を許す代わりに、ランダの恩給を認めた上で訴追せずに米国へと亡命させることを呑ませる。劇場ではフレデリックが自分の狙撃映画を見るに堪えかねてショシャナがいる映写室に押しかけていた。フレデリックを追い払えないと悟ったショシャナは映写室のドアに鍵をかけようとしているフレデリックの背中をピストルで撃つ。死んだと思ったフレデリックがうめき声を上げショシャナが顔をみようと近づく。その瞬間、フレデリックは最後の力を振り絞って体の向きを変えるとショシャナを射殺。ショシャナが事前に編集していた『国家の誇り』は、連合軍へのメッセージを伝えるフレデリックの顔からショシャナの大写しへと切り替わり、観客はこれからユダヤ人に殺されると伝える。これを合図に、ショシャナの映写技師で恋人のマルセルが、劇場の出口に鍵やかんぬきをかけて観客が逃げられないようにした上で、スクリーン背後に積まれたフィルムに火を放つ。ドニーとオマーはバルコニー席のヒトラーに飲み物を運ぶ振りをして護衛を射殺すると、マシンガンを奪って、ヒトラー、その場に居合わせたゲッベルス、さらには炎から逃げ惑う一階の観客たちを滅多撃ちにする。最後はドニーとオマーが仕掛けた爆弾が爆発して全員が死んだ。レインらを載せたトラックで米軍の支配地域までたどり着いたランダは、事前の打ち合わせ通りレインに投降する。銃とナイフを受け取ったレインはその場でランダの通信兵を射殺し、ウティヴィッチに頭皮を剥ぐよう命令する。混乱して怒鳴るランダ。レインはランダに、アメリカではナチスの軍服を脱いでナチスだと分からないようにして暮らすつもりなんだろう、と尋ねる。レインはランダを押さえつけてナイフで額に鉤十字を刻み、ウティヴィッチに語りかける。「どうだいウティヴィッチ、こりゃダントツで最高傑作だ。」・・・幕

ナチに家族を殺された女の復讐物語に連合軍の攻撃が絡んでいますが、戦争というよりテロレベルですからドンパチシーンは少なめです。ブラピも出ていますが、うーん、なんかシリアス演技じゃなくて、JOKEしてるような雰囲気。悪くいえば大根っぽい演技ですので「頭の皮を剥げ」と部下に命令してても怖さは全く無いです。あと、ヒトラーは、ガンガン勢いづいて喋っていますが、実物とはあまり似ていないっす。そしてバットで殴り殺す「ユダヤの熊」も登場。でも、このシーンはズームアップが無かったから大したことは有りませんでした。よっぽど皮剥の方がドギツイ絵でした。後半までタラちゃんムービーにしては強烈じゃないなと思ってたら、ショシャナとフレデリックの撃ち合い、ショシャナの燃え上がる笑い顔の映像、ヒトラーとゲッペルスの死に様、と強烈な3連発でした。これぞ、タランティーノですねぇ。

2009年 アメリカ映画 INGLOURIOUS BASTERDS ★★★
監督、脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
視覚効果デザイン:ジョン・ダイクストラ
特殊効果メイク:グレゴリー・ニコテロ
出演:ブラッド・ピット アルド・レイン中尉、バスターズの指揮官
メラニー・ロラン ショシャナ・ドレフュス
クリストフ・ヴァルツ ハンス・ランダ大佐
ミヒャエル・ファスベンダー アーチー・ヒコックス
イーライ・ロス ドニー・ドノウィッツ、ユダヤの熊
ダイアン・クルーガー ブリジット・フォン・ハマーシュマルク、ドイツの女優だが連合国のスパイ。ランドにバレて絞殺される。
ダニエル・ブリュール フレデリック・ツォラー、ナチのスナイパー、3日間で250人狙撃した。
ティル・シュヴァイガー ヒューゴ・スティーグリッツ
B・J・ノヴァク スミッソン・ウティヴィッチ
サム・レヴァイン ヒルシュベルク上等兵
ポール・ラスト アンディ・ケイガン
オマー・ドゥーム オマー・ウルマー
マイケル・バコール マイケル・ジマーマン上等兵
アウグスト・ディール ゲシュタポのヘルシュトローム少佐
ジャッキー・イド マルセル、ショシャナの恋人、黒人の映写技師
ロッド・テイラー ウィンストン・チャーチル、英国首相
マルティン・ヴトケ アドルフ・ヒトラー、ドイツ第三帝国総統