日清戦争・日露戦争で大日本帝国が勝利した数年後の1910年、清朝末期の上海で中国武術の大家・霍元甲が謎の死を遂げた。霍元甲がその年創始した精武館(上海精武体育会の前身である上海精武体操学校がモデル)の愛弟子の陳真は悲しみに暮れながらも、師匠の突然の死に疑問を抱く。時を同じくして始まった日本人柔道場からの執拗な嫌がらせ。ある夜、陳真は精武館に使用人として日本人スパイが紛れ込んでいる事を突き止め、やがて師匠の死の原因が、精武館を脅威だと感じた日本人柔道場主(虹口道場)・鈴木寛の陰謀だと知り、陳真はたった一人で復讐の闘いへと向かっていく。・・・



時代背景が大日本帝国が統治する、日本人の租界としての上海。ブルース・リーの70年代でも、今より反日感情は強いと思われますので、当時の中国のプロパガンダ映画とも思えますね。極悪の日本人柔道家に正義の鉄拳で懲らしめるリーって映画です。オイラは日本人ですが中国人の友人もいっぱいいます。何人でも良い人も悪い人もいますから、こんな悪い日本人なら懲らしめられても当たり前。そして中国人のホーも最低です。こういう奴は、中国語では漢奸ハンジェン、売国奴、裏切者と言います。現実に大日本帝国時代には漢奸はいっぱいいたらしいです。
オチは虹口道場は警察に圧力かけるも中々動かないので、自ら精武館を皆殺しに行きます。精武館の師範たち5人は陳真(チャン)を探して留守で助かりますが、門下生は2人を残して皆殺しにされます。同じ頃、チャンは単身、虹口道場に殴り込み幹部クラス全員を仇討ちしました。その後、日本領事館は虹口道場の殺人の件で警察と道場に来てチャンを引き渡せと言います。そこへ運悪くチャンが精武館に帰ってきます。そしてチャンは精武館を守る為に警察に自首。しかし外では銃を構えた男が4人。チャンは走り蹴りを入れますが、殺されてしまいました。なんとドラマチックなラストでした。正義の鉄拳を振ったけど、調べられることなく、殺されてしまったのです。日本人の租界は日本が法律、いたたまれない結末でしたね。あと精武館の娘、リーの婚約者役のノラ・ミヤオ は童顔っぽくて可愛い女の子です。最後に気になったのが、リーが毒殺犯2人を殺して逃げて呆然と師匠の墓前で食べてるのは、小さい赤犬でしょうか?なんか、そんな気がしますねえ。

1972年 香港映画 精武門、FIST OF FURY
監督:ロー・ウェイ
脚本:ロー・ウェイ、ニー・クァン
製作:レイモンド・チョウ
撮影:チェン・チンチュー
音楽:ジョセフ・クー
武術指導:ハン・インチェ
出演:ブルース・リー チェン(陳真)
ノラ・ミヤオ ユアン(霍麗児)精武館の娘でチェンの婚約者。
ジェームズ・ティエン ファン
ティエン・ファン 精武館の師範
ハン・インチェ フェン
橋本力 鈴木寛、虹口道場の館長
ウェイ・ピンアオ ウー、虹口道場の通訳で日本にへつらっている。
ロバート・ベイカー ペトロフ、虹口道場に逃げてきたロシアのマフィアで武道家。