1977年、西ベルリンを拠点とする世界的に有名な舞踊団<マルコス・ダンス・カンパニー>に入団するため、スージー・バニヨンは夢と希望を胸にアメリカ・オハイオ州からやってきた。初のオーディションでカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに入団を許可された。そんな中、彼女のまわりで不可解な出来事が頻発、ダンサーが次々と失踪を遂げはじめたのだ。彼女は実力もあったが、舞踊団の人材不足もあり、1948年から演じられている「民族」という演目の主役に抜擢された。一方、心理療法士クレンペラー博士は、患者であった若きダンサー・パトリシアの行方を捜すうち、舞踊団の闇に近づいていく。やがて、舞踊団に隠された恐ろしい秘密が明らかになり、スージーの身にも危険が及んできた。・・・
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映画史に名を刻むダリオ・アルジェントの傑作ホラーを、「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督が大胆にアレンジし、オリジナル版とは異なる視点から新たに描きました。はっきり言って、これはリメイクではありません。役名や設定を受け継いだだけのリブート、再構築です。ですからオリジナルとの比較をするより、単なる魔女映画として見た方が良いのかなと思いました。
でも、そうすると、ジェシカ・ハーパーが出てくるクレンペラー博士の逸話は完全に不要ですよね、、、汗。実際クレンペラー博士はパトリシアのカウンセラーからサラに忠告、そして警察に訴えても何もできず。ラストは儀式の証人として捕まえられ、裸にされて儀式を見せられました。そして生きて家に帰され、その後、嘆きの母が来て妻アンケ(ジェシカ・ハーパー)の死に様を教え、アンケを含む全ての記憶を消されてしまいます。ジェシカァー、うーん、魔女物語に全く絡んでいないな、ガクッ。
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さて、脚本はこちらのネタバレサイトに任すとして、プチ感想を書いておきます。
10分36秒の地下鉄の看板で、Suspiriaの看板があるな、ニヤリ。
今回はバレエじゃなくてコンテンポラリー・ダンスだから黒人の先生も、生徒もいるなぁ。
オリジナルの極彩色ではなく、地味な色調に変化しています。
グロ婆さんマルコスの儀式、裸踊りはシーデビルを想い出しましたよ。
ラストは別としてスプラッターより、痛い映像&グロの描写が多い。
ラストのスプラッターでも、血しぶき全開で、血というより真っ赤な雪が降っているイメージです、恐怖感は無し。
尺数は長すぎる割に、スージーの過去が少なすぎで意味不明(バラバラの激しいカット割りで見せてますが)。確かに悪魔の子、嘆きの母として生まれてきた?もしくは憑依されたのかもしれないが、何故生まれてきたのか?母親は悪魔主義者か?(どうも違うみたいだし。)分からない。やはりクレンペラー博士は少なくして、そっちに時間を割いた方が良いと思いました。
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ねじ切られたオルガ、頸動脈を切って自殺したグリフィス、ヘレナ・マルコス、ブランの最期。
最後にこの考察サイトも面白いので、映画を見た方にはお勧めです。

2018年 アメリカ・イタリア映画 SUSPIRIA ★★☆
監督:ルカ・グァダニーノ
脚本:デヴィッド・カイガニック
オリジナル脚本:ダリオ・アルジェント、ダリア・ニコロディ
撮影:サヨムプー・ムックディプローム
衣装デザイン:ジュリア・ピエルサンティ
編集:ヴァルテル・ファサーノ
振付:ダミアン・ジャレ
音楽:トム・ヨーク
音楽監修:ロビン・アーダング
出演:ダコタ・ジョンソン スージー・バニヨン
ティルダ・スウィントン マダム・ブラン/クレンペラー博士(ルッツ・エバースドルフ名義)/ヘレナ・マルコス。えー、これは凄い、一人三役とは思いませんでした。マダム・ブランはレズっぽくスージーが好きだなとは思ってましたけど。
ミア・ゴス サラ
クロエ・グレース・モレッツ パトリシア、最初マルコス憑依に同意していたが逃げた。ドイツ赤軍の一人。
エレナ・フォキーナ オルガ
アンゲラ・ヴィンクラー ミス・ターナー
マウゴーシャ・ベラ スージーの母、アメリカ・オハイオの農場にいた。
ジェシカ・ハーパー アンケ、クレンペラー博士の妻。ソ連のベルリン侵攻で夫婦生き別れに。その後、彼女は捕まり収容所で、雪の中を出され死亡。これは嘆きの母がクレンペラーに教えてくれたこと。