1980年?夏の大阪・釜ヶ崎、若い女性たちの惨殺事件が続発。被害者達は下腹部を切り裂かれ生殖器が持ち去られていた。犯人は廃虚ビルの屋上で暮らす孤独な青年、誠。彼は菜穂子と名づけたマネキンを愛し、愛の結晶が誕生することを夢想していた。そして若い女性を惨殺し奪った子宮を菜穂子に埋め込み、愛し続けた。やがて彼女に不思議な生命が宿りはじめ、様々な人間が廃虚ビル=「魔境」へと引き込まれていく。現実の町並みは、いつしか時間間隔を失い、傷痍軍人や浮浪者など敗戦直後を思わせる者が彷徨しはじめる。純粋に二人だけの世界で生きていた幼く美しい一組の兄と妹。彼らもまた菜穂子がいる廃虚へと導かれてゆく。幼い妹は菜穂子に母の面影を見る。兄は、その姿に激しく性を感じる。その時、廃墟ビルに引き込まれた人々に残酷な運命が訪れる。・・・





80年代の強烈なカルト作品です。出だしから製作会社の名前が欲望プロダクション、ヤバい匂いプンプンですな。台詞や効果音がほとんどなく、淡々とショッキングな話が進みます。でもモノクロ映像なんで、ヘドや血みどろが出てもリアル感は少なく、ギニー・ピッグのように耐えられないグロではありませんでした。ただ、ルンペンのキチャナイ映像は嫌ですが。話はマネキンしか愛せない変態男・誠を軸に、誠がドブさらいを雇われる小人症の兄(ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイドに出てます。)と妹・夏子の物語、高校生の兄と幼い妹の物語が描かれています。みんな、廃墟のマネキンの力か?兄妹で近親相姦の挙句、パートナーを殺してしまいます。高校生の兄に至っては、一旦埋めた妹を掘り起こして完食しちまいましたわ、自分の中で埋葬したって意見も読みましたが、でも、オエッ。完全ネタばれは、ここ。

1988年 日本 ☆
監督・脚本:松井良彦
製作:安岡卓治
脚本:松井良彦
撮影:手塚義治、村川聡、井川義之
音楽:菅沼重雄、上田 現
特殊メイク:松井祐一
出演:佐野和宏 誠、夏子に子供を殺されて放火された同じ頃、土手で円盤投げの円盤を後頭部に受けて死ぬ。
日野利彦(人力飛行機舎) 小人、夏子の兄、夏子の誕生日に、お祝いとばかりセックスして、耳かきを耳に突き刺されて死ぬ。
仲井まみ子 夏子、ラスト通天閣の窓際でボサッとしてる。
隈井士門 高校生の兄、愛してる妹とやって出血死させて、食ってしまう。
村田友紀子 中学生?の妹
大須賀勇(白虎社) ルンペン
白藤茜 傷痍軍人
皆渡静男 傷痍軍人