1885年、ジョナサン・ハーカーは吸血鬼であるドラキュラ伯爵を退治すべく、司書としてトランシルバニアのドラキュラ城を訪れたが、逆に吸血鬼の毒牙にかかってしまう。やがてハーカーを追って友人ヴァン・ヘルシング博士がドラキュラ城に到着したが、既にドラキュラは城を発った後だった。ヘルシングは吸血鬼になったハーカーの心臓に杭を打ち込んだ。10日後、ヘルシングはカールシュタットの町に戻り、ハーカーの婚約者であるルーシーの兄アーサー・ホルムウッドと妻のミーナにハーカーの死を説明するが、詳細は避けた。病気になったルーシーの元を訪れたヘルシングだが、既に彼女もまたドラキュラの毒牙に犯されつつあった。

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吸血鬼ドラキュラ amazon
HORROR OF DRACULA trailer 1958
 
オイラのトラウマ映画、1957年の『吸血鬼ドラキュラ』です。ハマー・プロのドラキュラ・シリーズ第1弾でキャラのイメージを全世界に植え付けました。オイラは小さい頃、TVの日曜洋画劇場で見て震えていました。そしてその夜、夢の中にドラキュラが出てきて、オイラを襲います。家から逃げ出して、路上を走り回る、でも後ろにはドラキュラが。もう走れない、殺されると思った瞬間、目が覚めるのです。最高に恐い思い出なのです。今思えばここがオイラのホラー歴の原点ですね。オイラは、この映画の一番の功績は音楽だと思います。いかにも恐怖映画、刺激的にジャーーンと轟くシンフォニーがビビルのです。そして、その音楽を背景にクリストファー・リーの決めのポーズ。この眼光と手つきが恐いけど素晴らしいっすね。ちなみにヴァン・ヘルシングのもともとの職業は医者。彼は紳士ですし、どっかの映画のように、流れ者のハンターじゃありません。ちょっと古めかしいけど、今見ても傑作です。

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「原作との相違点」(Wikipediaから引用、一部加筆)
原作とはいくつかの大きな相違がある。原作はイギリスが主要舞台であるが、本作ではドラキュラ城があるトランシルヴァニアから地続きで、さほど遠くないと思しき周辺地で主にストーリーが展開する。カールシュタットと言っているのでドイツではないかと思われる。イギリスと誤記している資料も多い。原作で実質上の主人公であるハーカーは、ドラキュラの正体を知らずに招かれてドラキュラ城を訪ねるが,本作では最初からドラキュラ退治を目的としている。しかしハーカーは吸血鬼の犠牲となって早々と没し、ヘルシングが主役として、アーサーと共にドラキュラと闘う。そのヘルシングも原作の重厚な老教授とは違い、シャーロック・ホームズを思わせる痩身、俊敏で鋭利な博士として描かれている。原作でヘルシングはプロフェッサーで、一般にも「ヘルシング教授」と呼称される事が多いキャラクターだが、本作ではドクターである。原作でヘルシングとともにドラキュラに立ち向かう2人の仲間、ジャック・セワード、キンシー・モリスの内、モリスは登場せず、セワードはルーシーの主治医として僅かに登場するが、ドラキュラと闘う事はない。原作でセワードが行っていた蓄音機による日記はヘルシングが受け継いでいる。また本作ではアーサーの妹がルーシー、妻がミーナとなっているが、原作ではルーシーはアーサーの婚約者、ミーナはジョナサン・ハーカーの婚約者であり後の妻である。この変更はハーカーの死亡で役の重要性が変化したことによると思われる。

1957年 イギリス HORROR OF DRACULA ★★★★★
監督:Terence Fisher
原作:Bram Stoker
脚本:Jimmy Sangster
美術、音楽:James Bernard
出演:Peter Cushing ... Doctor Van Helsing
Christopher Lee ... Count Dracula
Michael Gough ... Arthur
Melissa Stribling ... Mina
Carol Marsh ... Lucy
John Van Eyssen ... Jonathan
Olga Dickie ... Gerda、ホルムウッド家のメイド
Janina Faye ... Tania (as Janine Faye)、ゲルダの娘
Valerie Gaunt ... Vampire Woman、アーサーに助けを求める女だが吸血鬼。アーサーが杭を打つ。
Barbara Archer ... Inga、ドラキュラ城のある村の食堂の娘。ヘルシングに、拾ったアーサーの日記を渡す。
Charles Lloyd Pack ... Doctor Seward、ルーシーの主治医、後にヘルシングに交代する。