白井藤子は「ニュー東京舞踊学校」に通う若い女学生で、滝内喜代子・篠原英子・玉木里枝・光武早苗とは同級生。喜代子は、映画の主役に自分ではなく藤子が抜擢されたのを妬む。英子は、交際する新聞記者大田が藤子に心変わりしたことを知って憎む。里枝も、好意を寄せる新聞記者光武貞夫が藤子に夢中なので憎む。光武は、妹・早苗の友である藤子と惹かれ合っている。藤子の家には借金取りがたびたび押しかけるので、母は苦しむが、藤子の将来が明るいので喜ぶ。映画撮影所に挨拶回りし、光武とも良好で、前途洋洋の藤子。ある日、その男女7人が岬にハイキングに出かけた。藤子を憎む喜代子・英子・里枝の3人は、スキを狙って藤子を断崖から突き落とす。藤子は命を取り止めるが、顔に大怪我をして映画女優としては再起不能になる。藤子の母は、家を強制執行され、絶望して自刃してしまう。藤子は、母の遺書に従って山奥の「お化け屋敷」に曾祖母のお琴を訪ねる。陰陽師であるお琴は、怪我している藤子に呪術をかけるが、容貌が変わった藤子はついに絶望して自刃。なおもお琴が命を捨ててまで呪術をかけると、藤子は大きな爪や牙が生えた毛むくじゃらの怪物に変身した。

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光武は、藤子を追って山へ来るが、藤子の墓を見て諦める。東京で美人コンテストが開催され、映画スターになった喜代子とモデルになった英子が審査員になる。コンテストに、藤子にそっくりの「影山小夜子」が現れて優勝し、スターになる。藤子に気があった大田は、瓜二つの小夜子をモノにしようと襲うが、彼女は怪物に変貌して太田を噛み殺して姿を消す。英子も謎の怪物に襲われて殺される。喜代子も作曲家との結婚式の夜に、怪物に殺される。光武と婚約していた里枝は、一連の事件が藤子の復讐だと悟って脅える。復讐とはいえ、もう人殺しはしたくないと苦悩する小夜子 = 藤子。里枝の実家の村で、里枝と光武の婚礼が行われる日が来た。小夜子は東京からマイカーで駆けつけ、光武に品物を渡して2人を祝う。もう人殺しはいや、と帰途の車中で思う小夜子に、復讐を迫るお琴の声が響き、またもや小夜子は怪物に変身してしまう。婚礼の夜、ついに怪物は花嫁姿の里枝を噛み殺す。里枝の父親に猟銃で撃たれ、致命傷を負った怪物は森の中に逃げ込む。村長は村人に山狩りを命じる。ひとり怪物を探す光武。彼が沼にたどり着くと、怪物は絶命して小夜子 = 藤子の姿に戻っていた。光武は藤子の亡骸を抱きかかえる。・・・幕

全体にテンションは低いっすね。俳優の演技も、なんか白々しくて話にのめり込めませんでした。そして吸血魔の姿は、コメディか!こんなメイクするなら池内淳子のままで牙生やした方がよっぽど恐いぞ。もしかすると池内淳子のイメージを壊さないようにするための処置だったのかもしれません。そんなことを考えネットで調べると、おっと反対の事実が・・・。
池内淳子は新東宝からデビューして脚光を浴びていたが、柳沢真一と結婚して1957年に一時芸能界を引退していた。翌1958年には離婚して復帰したが、結婚に反対であった新東宝社長の大蔵貢から冷遇され、本作のような毛むくじゃらの怪物という不本意な役も泣く泣く引き受けなければならなかった。池内は後に新東宝よりフィルムを買い取り焼却処分してしまった。2008年現在、外部で保存していたフィルムにより DVD 化されており、バップより発売されている。

1960年 日本 新東宝 ★
監督:並木鏡太郎
脚本:長崎一平
撮影:吉田重業
美術:小汲明
音楽:阿部皓哉
出演:池内淳子 白井藤子(舞踊学校の女学生) / 影山小夜子(謎の美人スター)
天草博子 滝内喜代子 - 藤子の級友。後に映画スターになる。
瀬戸麗子 篠原英子 - 藤子の級友。新聞記者大田の恋人で、後にモデルになる。
三田泰子 玉木里枝 - 藤子の級友。光武貞夫に好意をもつため、藤子を憎む。
矢代京子 光武早苗 - 藤子の級友。
寺島達夫 光武貞夫 - 新聞記者で、早苗の兄。藤子に好意を寄せるが、里枝と結婚する。
高宮敬二 大田基保 - 新聞記者で、光武の同僚。篠原英子の恋人だが、藤子に心変わりする。
津路清子 白井道子 - 藤子の母。
五月藤江 お琴様 - 山中の屋敷に住む老婆で陰陽師。藤子の曾祖母に当たる。
山下明子 校長女史 - 藤子が通う舞踊学校の校長。
西一樹 作曲家石山 - 滝内喜代子と結婚する。
国創典 玉木里枝の父親 - 里枝の実家で結婚式を取り仕切る。
岡竜光 映画監督 - 藤子を映画女優に抜擢する。
秋山要之助 村長 - 里枝の実家のある村の村長。

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