英国南部の村ミドウィッチで、人も動物も突然一瞬の間に気絶して数時間後、何事もなかったように気がつく事件が起きる。これと同じ時刻、同じ現象がソ連、カナダ、オーストラリアにも起った。村に住む物理学者ゴードン・ゼラビイは異変を知って駆けつけてきた妻アンシアの兄アラン・バーナード少佐と協力、少佐の率いる陸軍科学医療班を指揮して原因究明に当ったが分からなかった。その後、村人の健康には何の異常もなかったが2ヵ月後、村中の子供を生める女性のすべてが妊娠した。アンシアも例外ではなく、こうして男女各6人の子が生まれた。

未知空間の恐怖 光る眼 amazon


ゴードン夫妻の男の子はデイヴィッドと名づけられた。デイヴィッドは他の11人の子供と同様、普通人の3倍以上の成長率を示し、3年目には就学児童並の肉体と大学教授並の知能指数をもつに至った。12人の子供は極端に似た美しい顔だちで意識や知能を共有していて、人の心を透視する力を持ち、その目が金色に輝くと人間の自己を失なわせることが出来た。ゴードンら科学の権威たちは未知空間から飛来した異質の生命であろうと推測するよりほかはなかった。政府には子供たちが大きくなる前に殺した方が良いと言う者もいたが、ゴードン博士が説き伏せ、1年間の観察期間を貰う。ゴードン博士は子供たちを村外れの建物に隔離し監督と観察に当った。その後、ウラルに生まれた同種の子供が村を支配し始めたので、ソ連政府は核で村人とともに殺したことが報ぜられる。が、ここでは村人を子供といっしょに犠牲にすることはできない。ゴードンは自分を犠牲にしても、子供たちの生命を断とうと決心した。時限爆弾を鞄の中にしかけた彼は妻を兄アランをロンドンに送るよう指示して、建物に向った。ゴードンは自分の心が見えないように無心になり、部屋のレンガ壁を崩すことだけ考えた。子供たちが爆弾に気づいた瞬間、爆弾が破裂した。ゴードンと子供たちの肉体は吹きとび、その瞬間、黒煙の間から、らんらんと輝く24の瞳が飛び立っていった。・・・幕

光る目の子供の無表情さは、人間の情など微塵もなく、不気味でした。短くまとめられた映画ですが、サスペンス度は結構高いので、楽しめると思います。原作の直訳は「ミドウィッチ(村)のカッコー」となるのですが、他の鳥の巣に卵を産んで育てさせるカッコーにちなんでつけられた題名らしいです。

1960年 イギリス モノクロ 77分 Village of the Damned ★★
監督:Wolf Rilla
脚本:Stirling Silliphant 、Wolf Rilla 、Ronald Kinnoch(as George Barclay)
原作:John Wyndham(novel "The Midwich Cuckoos")、ミドウィッチの郭公
音楽:Ron Goodwin
出演:George Sanders ... Gordon Zellaby
Barbara Shelley ... Anthea Zellaby
Martin Stephens ... David Zellaby
Michael Gwynn ... Alan Bernard