イワン・イゴールは1921年のロンドンで蝋人形館を開いている彫刻家だ。しかし美を追求した作品は人気がなくなり、彼の投資パートナーであるジョー・ワースは1万ポンドの火災保険金目当てに蝋人形館を焼き払おうとする。しかし、イゴールがそうはさせまいとして、ワースとけんかになる。イゴールが殴られて気絶した際、ワースはイゴールが邪魔になると考え、彼の死体を置き去りにする。 しかしイゴールは死んでおらず12年後のニューヨークに現れ、新たに蝋人形館を開く。

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火事で手足が利かなくなったので、新しく蝋人形を作るのは、彼の助手ダーシーと耳が聞こえず口の利けないヒューゴーである。その頃、ニューヨーク・エクスプレスの記者フローレンスは編集長であるジムから、ジョアン・ゲイルというモデルの自殺について調査するよう命じられる。 この時、醜い怪人が霊安室から彼女の遺体を盗んだ。捜査官は殺人を疑い元彼のジョージ・ウィントンという金持ちの息子を疑うがフローレンスは別の考えを持っていた。フローレンスのルームメイトであるシャーロット・ダンカンの婚約者であるラルフはイゴールが新しく開いた蝋人形館で働きはじめた。フローレンスは蝋人形館を訪れた時、ジャンヌ・ダルクの蝋人形と亡くなったモデルとが薄気味悪いほど似ていることに気づき、死体を盗んでデスマスクを作ったのではと考える。その頃、イゴールはシャーロットを見かけ、かつて自分がロンドンで運営していた蝋人形館にあった自分のお気に入りのマリー・アントワネットの蝋人形に似ていると言う。またダーシーは、まだ生きていて酒の密売業者をしているジョー・ワースの元でも働いていた。警察はフローレンスの情報で密造酒を置いている古い家を調べ、ダーシーを捕える。署に連れてこられた彼は、盗んだ時計から疑われ、更に麻薬が切れ取り乱して「イゴールが真犯人で、彼が人を殺しては遺体を盗み、生きているような人形を作るために遺体を蝋に浸けている」と告白する。その頃、シャーロットは蝋人形館にいるラルフに会いに行くがイゴールの罠にはまってしまう。そしてシャーロットが館から逃げようとした際、イゴールの顔を叩いて彼が自分で作った蝋の仮面が壊れ、その下からひどく傷だらけの怪人の顔があらわれる。シャーロットが気絶した後、イゴールは彼女が失われたマリー・アントワネットになるのを楽しみにしながら、彼女をしっかり縛って机の上に置く。 ちょうどそこへフローレンスが警官を連れて蝋人形館に突入、シャーロットは助けられイゴールは射殺されて巨大な蝋の桶の中へ落ちて死んだ。フローレンスが事件の報告を終えた後、ジムが彼女に告白をする。金(ウィントン)か幸福(ジム)かの究極の選択を迫られた彼女は、幸福を選ぶ。・・・幕

新聞記者フローレンスがスクープ獲得の為、蝋人形館の謎に迫る映画。フローレンスは抜群の行動力と女の直感で事件を暴きます。題材はホラーっぽいですが、コメディを含んだ軽いサスペンス映画に仕上がっていました。編集長とフローレンスの会話はブラック・ジョーク連発で面白かったです。一番驚いたのは1933年製なのに、なんとカラーじゃありませんか。オイラは当然モノクロと思って鑑賞したのでびっくりしました。カラーってこんな時代にあったんですね。(その辺の製作秘話は下記を参照。)また、気になったのが、全体の41分50秒後のシーン。ろう人形役の女王様がまばたきしています。ろう人形といっても人間の役者さんが、やっているので、思わずまばたきしちゃったんですね。すべて人形を作る予算をけちったんでしょうか?ちなみに1953年のリメイクは本物の人形を作っていました。
製作秘話:この映画は、チャールズ・ベルデン作の未公開の三人芝居「The Wax Works 」を基にしており、1930年にベルデンが映画用脚本を書き始めた後、ワーナー・ブラザースが脚本を買った。1932年にホラー映画「ドクターX」の成功を受けて、フェイ・レイ、ライオネル・アトウィル、アーサー・エドモンド・キャラウェといった、その映画に出た俳優のうちの何人かが、この映画にも出演している。 この映画は、映像のきめをとって色と透明度を与えるテクニカラー技法をワーナーブラザースが試用した3番目にして最後の映画である。この進歩した技術は1931年にThe Runaroundという映画の中で使用され、1931年末にワーナーブラザース内でカラー・リバイバブルを起こした。しかしながら世間からは不評を買い、1932年末スタジオはカラー映画制作というすばらしい計画を取りやめた。その結果、この映画は大手スタジオで作られた最後の二色式テクニカラー映画になってしまった。会社との契約を果たすためのシステムにおける、光の反射を抑えた色彩を作る赤と緑の組み合わせによる撮影が行われた。しかし、撮影技師の信用において、結果は正確でなければ喜ばしいものだった。

1933年 アメリカ Mystery of the Wax Museum ★★☆
監督:Michael Curtiz
戯曲:Charles Belden
脚本:Don Mullaly、Carl Erickson
出演:Lionel Atwill ... Ivan Igor
Fay Wray ... Charlotte Duncan
Glenda Farrell ... Florence Dempsey
Frank McHugh ... Jim
Allen Vincent ... Ralph Burton
Gavin Gordon ... George Winton
Edwin Maxwell ... Joe Worth
Holmes Herbert ... Dr. Rasmussen
Claude King ... Mr. Galatalin
Arthur Edmund Carewe ... Sparrow (Prof. Darcy)
Thomas E. Jackson ... Detective (as Thomas Jackson)
Matthew Betz ... Hugo (the deaf-mute)
Monica Bannister ... Joan Gale