ベトナム戦争中期。陸軍空挺士官のウィラード大尉は、妻と離婚してまで、再び戦場に戻ってきた。彼はMACV-SOGの一員として、CIAによる敵要人暗殺の秘密作戦に従事してきた古参兵だった。その実績を買われ、サイゴンのホテルに滞在中、軍上層部に呼び出される。そこで彼は、ある密命(元グリーンベレー隊長のカーツ大佐を暗殺すること)を受ける。カーツは軍の命令を無視して勝手に二重スパイを殺し暴走、カンボジアのジャングルの中に地元住民を軍人に仕立て上げ、独立王国を築いていた。

ウィラードは、海軍に所属する部下と共に河川哨戒艇で大河を遡行する。ウィラードは道すがら、カーツの資料から彼の思想を読み取ろうとする。そして一行は戦争の狂気を目の当たりにする。サーフィンをするためにベトコンの前哨基地を襲撃するヘリ部隊の司令官、ジャングルに突如として出現したプレイメイトのステージ、指揮官抜きで戦い続ける最前線の兵士たち。やがてカーツの王国に近づくにつれて、ウィラード自身も少しずつ心の平衡を保てなくなってゆく。何人も部下を失いながらも、何とか王国にたどり着いたウィラード。彼は王国の支配者カーツと邂逅し、その思想や言動に動揺する。一時は監禁されたものの、改めて自由を与えられたウィラード。そしてカーツはアメリカにいる息子に自分の経験、思想、ウィラードの見たものを伝えてほしかったのでウィラードに依頼。ウィラードは更に、カーツは死して今の苦しみから逃れたい、それはジャングルの意思だと感じて水牛を生贄にする祭りの夜にカーツの暗殺を決行する。・・・幕

apocalypsenow redux

1979年製作のフランシス・フォード・コッポラによる戦争映画。ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』を原作に、物語の舞台をベトナム戦争に移して翻案した叙事詩的映画です。日本では1980年2月23日に公開、2001年にコッポラ自身の再編集による特別完全版も公開されました。オープニングからドアーズのジ・エンドがむなしく流れます。物語は感情を表に出さないウィラードの目から見たベトナム戦争が語られていきます。まずアメリカの力を誇示したようなヒーロー的なサーファー指揮官が登場(絵的にはワーグナーの曲がかかる爆撃シーンは大変かっこいい)、最初はいいのですが、だんだんアメリカの弱さを露呈。戦争に来ているのに、まるでバイトに来ているような感覚、食事、マリファナ、女を要求して緊張感がなくなっていく様が描かれているのです。そしてヌン川上流の気が狂ったアメリカの基地(当然陥落してしまいます)が出てきて、ベトナムに渦巻く欺瞞と嘘の最低の世界が描かれます。直接的な戦闘シーンの全体割合は少なく、非常に詩的な映像、自然の泥臭さや強さが綴られています。特にカーツが出てきた後は、完全にその世界になります。オイラ的には、ウィラードと寝るフランス人の未亡人ロクサーヌ・サロの言葉、「人の中にはケダモノも神もいる」とか、カーツ大佐の言葉、「偽りは悪臭を放つ糞」が印象的でした。

以下ウィキペディアより引用
特別完全版とは?
2001年には53分もの未公開シーンが追加されたディレクターズ・カットが公開。この特別完全版では台風により不時着したヘリコプターとそれに乗っていたプレイメイト達のシーン(ランスとシェフが燃料と引き換えに遊んでいるシーン)、フランス人入植者たちとの交流のエピソードなども復元された。解説的なナレーションが増えたわけでは無いが、全体的にアメリカの偽善や欺瞞を告発するような場面が増え、初公開版とは大きく印象が異なるものとなった。例えばフランス人入植者たちとの会食の席で、ウィラードが「ベトコンを創り出したのはアメリカ人」とその由来を知らされ愕然とするシーンなどである。特別完全版のプレミアは初公開時同様、カンヌ国際映画祭で行われた。特別完全版の公開に時を同じくしてアメリカはタリバン勢力の殲滅を名目にアフガニスタン侵攻を開始。タリバンの母体となったムジャーヒディーンを冷戦中にやはりアメリカが支援していたといった事情を考慮し、日本の配給会社によって「コッポラは『地獄の黙示録』でアメリカ同時多発テロ事件を予見していた」という内容の宣伝もされた。

撮影中のトラブル
撮影ロケは、フィリピンのジャングルで行われた。アメリカ軍の協力が得られなかったため、映画に登場するF-5戦闘機やUH-1ヘリコプターは全てフィリピン軍の協力に拠った。当時フィリピンは共産ゲリラとの内戦や南部イスラム教住民の反乱に直面しており、そのため彼らの実戦出動によってヘリコプターシーン撮影のスケジュールが乱れる事もしばしばであった。途中、フィリピンを襲った台風によりセットが全て崩壊したこともスケジュールの遅延に影響した。この時の台風の模様は撮影され、ストーリー上、急遽役割が与えられた。フランス人入植者たちのエピソードのように、莫大な費用と期間を掛けて細部まで拘りぬいた撮影が行われたものの、劇場公開版からは最終的に削除されてしまったシーンも数多く発生した。以上のような要因で、映画の撮影期間は予定を超えてどんどん延びていった。コッポラはキャスティング面でも多くの困難に対処する必要に迫られた。当初ウィラード大尉を演じる予定であったハーヴェイ・カイテルは撮影開始2週間で降板し、新たに起用されたマーティン・シーンも撮影途中の1977年3月5日に心臓麻痺で倒れ、一時生死の境をさまようほどの状態になってしまった。報道写真家役のデニス・ホッパーは麻薬中毒でセリフが覚えられず、事あるごとにコッポラと衝突した。それ以外にも主演のマーロン・ブランドが撮影当時極度に肥満していたため、物語の設定を一部変更する必要が生じたこともあった。ブランドはキャスティングや脚本に対して自己中心的な主張をすることも多く(デニス・ホッパーとセットで共演する事を拒否したという)、遂には監督であるコッポラが心労で倒れる事態にまで陥ってしまう。トラブルは以降も続いたため、ストーリーも大きく変更され、後に脚本担当のジョン・ミリアスが不快感を表明するに至る。制作発表時、ベトナム戦争やアメリカ及びアメリカ軍を批判的に扱った最初の映画として物議を醸したが、スケジュールの遅延やキャスティング面でのトラブル、監督であるコッポラの完璧主義によって撮影と編集が異常に長引いてしまった。撮影は17週間の予定が61週間(1976年3月~1977年5月)にも延びて、編集にも2年余りの時間が掛けられた。同様にベトナム戦争を題材にし、この映画の後から制作が始まった『ディア・ハンター』の方が先に公開されたほどである。映画の完成が遅れるに伴って、映画の制作費も当初の予定を大幅に上回る結果となった。最初の予算は1200万ドル(当時の日本円で約35億円)だったが、実際に掛かったのは3100万ドル(約90億円)だった。そのうち、1600万ドル(約46億円)はユナイテッド・アーティスツ社が全米配給権と引きかえに出資したが、残りはこの映画を自分の思いのままに作りたかったコッポラが自分で出した。資金の一部は、日本の配給元でもある日本ヘラルドから支援されたともいわれる。コッポラの妻エレノア・コッポラは後に撮影手記『ノーツ―コッポラの黙示録』を出版。また、彼女が撮影の舞台裏を撮影したビデオや録音テープにスタッフ、キャストへのインタビューを加えたドキュメンタリー映画『ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録』(原題:Hearts of Darkness: A Filmmaker's Apocalypse)が1991年11月に公開された。当時の制作現場がいかに「戦場」のようであったかが窺える記録映画となっている。

映画公開後
1979年のカンヌ国際映画祭で未完成のまま出品され、『ブリキの太鼓』と共に映画祭の最高賞に相当するパルム・ドールを獲得した。授賞式の会場では、審査委員会の判断を批判するブーイングもあったという。北米で一般公開されたのは同年の8月15日である。映画製作中の様々な困難にも関わらず、『地獄の黙示録』は公開後全世界で大ヒットを記録し、巨額の制作費を無事回収することが出来た。1979年度のアカデミー賞で作品賞を含む8部門でノミネートされ、そのうち撮影賞と音響賞を受賞した。それ以外にもゴールデングローブ賞の監督賞と助演男優賞、全米映画批評家協会賞の助演男優賞、英国アカデミー賞の監督賞と助演男優賞などを受賞。


『地獄の黙示録 ファイナルカット』IMAX版2020年2月公開されました。

映画『地獄の黙示録』最後の解説とネタバレあらすじ。特別完全版とファイナルカット版の違いを比較

2001年 アメリカ 202分 Apocalypse Now Redux ★★★★★
オリジナル劇場公開版は153分、原題はApocalypse Now(1979年) 
監督、製作:Francis Ford Coppola
製作:Kim Aubry(version "Apocalypse Now Redux (2001)")
脚本:Francis Ford Coppola、John Milius
撮影:Vittorio Storaro
音楽:Carmine Coppola、FFコッポラの父
出演:Marlon Brando ... Colonel Walter E. Kurtz、カーツ大佐
Martin Sheen ... Captain Benjamin L. Willard、ウィラード大尉
Robert Duvall ... Lieutenant Colonel Bill Kilgore、キルゴア中佐
Frederic Forrest ... Jay 'Chef' Hicks、シェフ
Sam Bottoms ... Lance B. Johnson、ランス
Laurence Fishburne ... Tyrone 'Clean' Miller (as Larry Fishburne)、クリーン
Albert Hall ... Chief Phillips、チーフ
Harrison Ford ... Colonel Lucas、ルーカス大佐
Dennis Hopper ... Photojournalist、フォト・ジャーナリスト
Scott Glenn ... Lieutenant Richard M. Colby、コルビー中佐、ウィラードの前任者、カーツに寝返る。
Cynthia Wood ... Playmate of the Year
Colleen Camp ... Playmate, Miss May
Linda Carpenter ... Playmate
Aurore Clément ... Roxanne Sarrault (Redux version only)
Christian Marquand ... Hubert de Marais (Redux version only)