スペインのトレドの町を訪れたアメリカ人女性リサと友達のキャシー。リサは悪魔が死人をかついでいる壁画を見た後、一人で近くの骨董品屋に立ち寄る。そこでは頭の剥げた紳士レアンドロが店主に、死んだ自分の主人カルロの人形の製作指示をしていた。リサが店主に声をかけた途端、彼女の顔は蒼白になる。振り返った男レアンドロは、あの壁画の悪魔そっくりだったのだ。彼女は、怯えながら店を出たが道に迷ってしまい、広場に出る事が出来ない。その内、カルロ人形を抱きかかえたレアンドロと再会して道を尋ね、川のそばまで歩くとカルロそっくりの男がやってきて「エレナ」と声をかけられる。怖くなり男を階段から突き飛ばし気絶させてしまった。
リサは歩き続け夜を迎え道端で一人たたずんでいた。そこへ車で走ってきたレイハー夫妻と会い、乗せてもらう。しばらく走ると車のエンジンがオーバー・ヒートして立ち往生する。その時、車を止めた前の家の扉が開き、昼間のレアンドロが出てきた。レアンドロは、この家の執事だった。そして、この家の住人マックスも現れ、リサを見て前妻のエレナとそっくりと驚き、「みんな今夜は家で泊まれば」と勧められる。マックスの母の指示で一行は別邸に泊まることになった。部屋に入るとフランシス・レイハーの妻ソフィアは運転手ジョージと抱き合う。彼らは不倫関係だったのだ。食事の時、マックスの母が挨拶に来る。彼女は眼が見えなかった。その後、リサは居間でオルゴールの人形を見ている時、幻影を見る。それは庭でマックスの継父カルロがマックスの妻エレナと密会して抱き合っている光景だった。ソフィアがジョージを心配して車の所へ行く。すると夫が現れ喧嘩になり、ぶたれた拍子に車のドアが開いた。なんとジョージはハサミで喉を切られ殺されていた。みんなは知らなかったが、血のついたハサミを持ってマックスの母が屋敷を歩いていく。みんなでジョージの死体を始末したが、マックスは警察沙汰を恐れ、フランシスに内密にと頼む。そしてレアンドロはフランシスに「死体はここに置いて早く立ち去れ」と忠告する。彼は妻の不倫に気づいていたし運転手が死んで、これ幸いだった。マックスは庭でリサに求愛するが、母の邪魔が入ってしまいマックスは母と共に屋敷に戻ってしまった。母は元妻エレナとそっくりなリサと付き合うのに反対だった。その後、リサは森でカルロ(実は幽霊)と出会い、カルロはレアンドロが入っていった部屋へ向かう。「ここで待て、来るな。」という事を聞かず、窓から中を覗くリサは葬式の準備をしているレアンドロを見る。そして、お棺の中にはカルロの姿が・・・。怖くなって屋敷の中に逃げこんだリサはカルロに、また出会い気絶してしまった。一方、泣き悲しむソフィアを夫フランシスは無理矢理、車に乗せ出発しようとする。そして夫が車の前に歩き出た時、夫の「運転手は要らん」という言葉にソフィアは、ぶち切れ、夫を車で何度も轢き殺す。カルロはリサを抱き人形の部屋に連れて行く。そして突然、後ろから何者かに撲殺された。その様子を見たソフィアは絶叫して逃げ回るが、そいつに撲殺される。撲殺した人物はマックスだった。同じ頃、執事レアンドロは葬儀のリハーサル中に落として壊したカルロ人形の顔を接着剤で貼り直していた。カルロは妻を寝取った為、マックスの怒りをかい、首無し死体にされたのだった。カルロの妻(マックスの母)は、首無し死体では伝統の慣習が守られない為、レアンドロに人形を作らせ葬式をしようとしていたのだ。その脇にはリサが気絶していた。そしてレアンドロは、リサで新しい人形を作ろうと決意。実は、彼は悪魔であり本人を殺して人形を作るのが趣味だった。レアンドロは、しばらくして気絶しているリサを起こし、話しながら素早くサイズを測った。その後、リサは屋敷を歩きまわり、ソフィアの死体の傍にいるマックスの母を見つける。母が殺したと思い込みリサは逃げ出しマックスの元にかくまってもらう。マックスは秘密の部屋・・・実は前妻エレナの白骨死体がある部屋に招き入れ、リサに睡眠薬をかがせ眠らせる。そしてリサを裸にしてSEXしようとしたが、彼は不能で出来なかった。更に横にいるエレナのしゃれこうべに馬鹿にされ、大笑いされるマックス。いらいらして、頭にきて、カルロの葬式の準備をぶち壊し八つ当たり。そこへ母が来て「リサと縁を切れ」と諭されるマックス。彼はジョージも殺していて、リサを連れ去る奴をみんな殺したと告白する。そして感情が高ぶり、母を蝋燭立てで刺し殺してしまう。その後、リアンドロを探し、食堂に入るマックス。何故か、そこには死んだ人たちが座っていて、後ろを振り向くと、先ほど死んだ母がゾンビのように歩いてくる。ビビッたマックスは窓から転落して胸を鉄杭で貫かれて死んだ。母を操っていたのはリアンドロだった。翌朝全裸で目が覚めたリサは呆然とする。屋敷は崩れ去り、植物はほかりっぱなし。ここは廃墟だったのだ。実は、この屋敷の住人は、みんな幽霊だったのだ。外で遊ぶ女の子に、「幽霊、100年前に死んだ人。」とからかわれながら、空港へ向かうリサ。飛行機に乗り、離陸してほっとした時、おやっ、周りに乗客が一人もいないことに気づく。座席を立ち乗客を見に行くと後部座席で、あの屋敷の連中が乗っていた。錯乱してコクピットへ逃げると、機長は、なんとレアンドロ本人。彼は一言、「エレナ」と言った。リサはエレナに姿を変え、その場でドサッと座り込んだ。(死んだのでしょうな)・・・幕

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新エクソシスト 死肉のダンスのオリジナル・バージョン。この映画は、まともな映画でした。幽霊屋敷の愛憎劇に巻き込まれるリサ、レイハー夫妻と運転手ジョージを描きます。色彩はバーヴァらしく幻想的に、シュールに、ロマンチシズムあふれる色使いになっています。庭の噴水の魚の彫刻とか、割れた瓶から流れ出る赤ワインとか、大変かっこいいです。その雰囲気の中に、チョロチョロ惨殺死体が紛れ込み、それなりに面白かったですよ。この映画を見ると、いかに『新エクソシスト 死肉のダンス』がクソ映画か、よく分かります。こんなシュールなジャーロをボロボロに切り張りして、良くなるはずないでしょうにっ!

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米国公開時にカットされたSylva Koscina のSEXシーン。DVDの特典にしっかり入っていました。
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1973年 イタリア Lisa and the devil、Lisa e il diavolo
監督:Mario Bava
製作:Alfredo Leone(as Alfred Leone)
音楽:Carlo Savina
出演:Telly Savalas ... Leandro
Elke Sommer ... Lisa Reiner
Sylva Koscina ... Sophia Lehar、フランシスの妻
Eduardo Fajardo ... Francis Lehar
Alessio Orano ... Max
Gabriele Tinti ... George (the chauffeur)、運転手ジョージ
Kathy Leone ... Lisa's friend:Kathy
Alida Valli ... Countess、マックスの母
Espartaco Santoni ... Carlo、マックスの継父