16世紀、マリアとフリーダの双子の姉妹は両親と死別した為、カルンシュタイン村の叔父グスタフに引き取られる。グスタフは魔女狩りに精を出す狂信的なキリスト信者グループのリーダーだ。フリーダはマリアよりもおませで、厳格すぎる叔父の態度に耐えられなくなり、家出したくてしょうがなかった。一方、この土地の貴族カルンシュタイン伯爵は黒魔術に没頭していた。今日もサタンを呼び出す為、女を一人生贄にした。しかしサタンではなく、死んだ自分の妻カルミーラが吸血鬼になって復活。久しぶりに妻と抱き合いながら、自分も不死者、吸血鬼となる。・・・

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ハマー・プロが、レ・ファニュの怪奇小説『吸血鬼カーミラ』を映画化した「ミルカーラ・カルンシュタイン3部作」の最終章となった作品です。ピーター・カッシングも出演していますが、吸血鬼物でも、ちょっと役柄は違っていました。今回は善人だけじゃない、盲目的な狂信的なリーダーの役でっす。彼は、一方的に独断で決めつけ、魔女だと叫んで娘2人を焼き殺すんです。(コワッ)後半はフリーダが吸血鬼になり、いつもの善と悪って展開になりますが、今回はそれだけじゃない。善の側でも間違いはある。罪の無い娘も焼き殺すっていう魔女狩りの愚かさも、しっかり描いてありました。ある意味、魔女狩りの現代的な解釈も取り入れた作品とも言えます。疑問なのは、ミルカーラの存在。彼女は夫を吸血鬼にしたら、後は任せて、すぐ消えちゃうんです。いったい彼女はどうなったか?生きているのか?地獄へ帰ったのか?まったく語られていませんね。ここは、もう少し説明が欲しかったです。今回のカルンシュタイン伯爵は吸血鬼でも昼間歩いても平気、そして吸血鬼に咬みつかれた者でも悪を崇拝する気持ちがなければ吸血鬼になれない・・・こんな新解釈もありました。最後に日本のキャッチ・コピーを紹介します。
いけにえにされた女の血が、無気味な魔女狩の村に吸血鬼を甦らせた!蒼い館におびきよせられる美しい娘たち-えぐられたのど 火あぶり、ころげ落ちる首…… 心臓を突きさす恐怖と戦慄のディスカバー・ドラキュラ(ドラキュラなんか出て来ないちゅーに。邦題といい、ホントいい加減なんだから。) 

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Madeleine Collinson のFrieda Vampire・・・胸をあらわにアントンを襲います。
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1971年 イギリス ハマー・プロ Twins of Evil ★★★☆
監督:John Hough
脚本:Tudor Gates (screenplay) Sheridan Le Fanu (characters)
製作:Harry Fine Michael Style
音楽:Harry Robertson
出演:Peter Cushing(Gustav Weil)
Madeleine Collinson (Frieda Gellhorn)
Mary Collinson (Maria Gellhorn)
David Warbeck(Anton Hoffer)
Kathleen Byron(Katy Weil、グスタフの妻)
Damien Thomas (Count Karnstein)
Katya Wyeth (Countess Mircalla)
Harvey Hall (Franz)
Alex Scott(Hermann)
Shelagh Wilcocks(Lady in Coach)
Roy Stewart (Joachim)
Luan Peters(Gerta)
Dennis Price(Dietrich)
Maggie Wright (Alexa)