近未来、正体不明の人工的な信号をキャッチした2隻の宇宙船(アルゴス号とギャリオット号)は、発信元である謎の惑星オーラへと調査に向かった。その惑星に近づいた時、船は妨害電波により通信障害を起こし、船内の重力コントロールが効かなくなり40Gの衝撃を受け乗組員は気を失ってしまった。船長マークはなんとか操縦し惑星へ軟着陸させる。アルゴス号の乗組員は目覚めると何故か凶暴化し互いに争い始めた。正気だったマークは乗組員達に自分を取り戻させ、何が起こったのかを問いただす。しかし、皆一様に凶暴化したときの記憶はないと答えた。その時、ギャレット号から救出の無線が入る。マークたちは場所を確認後、クルーの救出に向かった。・・・



マリオ・バーヴァ監督のバンパイアもんと期待してみたら、思いっきり、ずっこけました。内容は星が絶滅に向かう中、宇宙生物が人間に寄生したいが為に信号を送っていたというものでした。バンパイアなんか出てこないし、当然吸血シーンなんかもありません。あるのは、死んだ隊員の血まみれの顔、そして寄生されてゾンビになって歩き回っている姿です。宇宙生命体もまったく姿を現さないので、俳優さんが表情を変えて頑張っているだけなんです。色んなレビューを読むと、エイリアンの先駆けとか、バーヴァ特有の色彩感覚(確かに、惑星の赤い土、青白い霧は不気味でしたが)が素晴らしいとか、書いてありますが、それは、あくまでも本編の寄生生物の引き立て役でしょ。脚本は面白そうなんですが、肝心の寄生生物が無くては拍子抜けですよ。時代的にチープに成らざるを得ないかもしれませんが、それでも出して欲しかったですね。原題もPLANET OF THE VAMPIREで公開していますので、ほとんど詐欺的な題名。イタリア版題名は「宇宙の恐怖」ですから、許せますが「バンパイアの惑星」はいただけない。更にポスター、巨大怪物との戦闘シーンが描かれていますが、こんなシーンはありません。巨大怪物は以前オーラ星を訪れた怪物で、今回人間が行った時は死んで骨しかなかったのですから。ポスターは完全に嘘ばっかりでした。・・・トホホ。

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1965年 イタリア・スペイン PLANET OF THE VAMPIRE、TERRORE NELLO SPAZIO、THE DEMON PLANET[米・TV] ★☆
監督:マリオ・バーヴァ
原作:レナート・ペストリニエーロ
脚本:イブ・メルキオー ルイス・M・ヘイワード カリスト・コスリッチ アントニオ・ロマン アルベルト・ベヴィラクア マリオ・バーヴァ ラファエル・J・サルビア
音楽:ジーノ・マリヌッツィ・Jr アントニオ・プレッツ・オルカ
出演:バリー・サリヴァン(アルゴス号船長マーク)
ノーマ・ベンゲル(サニヤ、アルゴス号通信担当)
エンジェル・アランダ(ウェス、アルゴス号メカニック)
エヴィ・マランディ(ティオナ、アルゴス号乗組員)
フランコ・アンドレイ(バート、アルゴス号乗組員)
フェルナンド・ヴィレナ(カラン医師、アルゴス号乗組員)