剣の英雄たちが群雄割拠する時代、天下の名剣 グリーン・デスティニー(碧名剣)の使い手としてその名を轟かせるリ-・ム-バイは、ウ-ダン山での瞑想修行を途中で切り上げ、女弟子ユー・シュ-リンの元へやって来た。リ-は、荷送の警護で北京に行くユーに、彼の分身であるグリーン・デスティニーをティエ氏(ラン・シャン)に届けるように頼む。リ-は昔、自分の師匠がジェイド・フォックス(碧眼狐)という敵に殺され、長い間その仇を探し求めていたが、時は流れ、剣を置く決意をして、その許しを乞うために墓参りの旅を考えていたのだった。北京に到着したユーは、剣をティエ氏に渡し、彼の邸に泊まることとなる。二人のことを昔から知るティエ氏は、リ-の引退が二人の結婚を意味すると思った。だがユーはそれを否定する。確かに二人は密かに惹かれ合っていたが、愛する気持ちがあっても、師弟ではそれが許されるものではなかった。ティエ氏の書斎へ剣を置きに行ったユーは、そこで貴族のユィ長官の娘イェンに出会う。イェンは、西方で行政長官を務めていた父親の北京への赴任に伴い、両親の野望のため有力な一門ゴウ家に嫁ぐことになっている。グリーン・デスティニーを見て、結婚するよりもユーのような剣士になりたいと無邪気に憧れるイェンに、ユーは結婚が女の幸せだと諭すのだった。その夜、ティエ邸に賊が忍び込み、グリーン・デスティニーが盗まれる。賊はもしかするとイェンではなかったのかという疑問を持ちながら、ユーはそれを確かめるために彼女を訪ねる。彼女のそばには家庭教師がいてユーの来訪に不快感を示すが、イェンは喜んでユーを迎え入れ姉になるように頼み、ユーはそれを快く受け義姉妹の契りを交わしたのだった。・・・

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中国語原題の「臥虎藏龍」は場所が見かけ通りでないことを表す中国の古い格言。人間の見かけと心の裏腹さを表現していて、腕がたつ武術家のムーバイとシューリンの心の中の葛藤や、見かけがおとなしいイェンの武術家になりたいとか、荒野の盗賊ローと一緒になりたいとかいう思いを表しています。この作品は、アクション映画にラブストーリーが加味されているのですが、オイラはアクション映画とは思えなかったですね。最初のシューリンとイェンの戦いは、音楽も含めて緊張感はあったのですが、話が進むにつれ、特にムーバイのアクション・シーンは戦いと言うより川の中で魚がすいすい泳ぐような静寂感に包まれています。無心で剣をふるうムーバイの達人らしさが表現されているのです。ですから激しくはありませんが、竹の上での戦いや壁を地面に見立ててフワフワと駆け上がるワイヤーアクションは見ものです。あと、しなやかにたわむグリーン・デスティニー(碧名剣)の造詣や、ラストの中国の山々の自然は綺麗でした。(CGっぽいが)なんかストーリー全体が淡々と流れていき、ムーバイの瞑想修行のような映画でした。

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2000年 アメリカ・中国 臥虎藏龍、CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON、WO HU CAUG LONG ★★
監督:アン・リー
アクション監督:ユエン・ウーピン
原作:ワン・ドウルー
脚本:ワン・ホエリン ジェームズ・シェイマス ツァイ・クォジュン
音楽:タン・ドゥン ヨーヨー・マ
主題歌:ココ・リー
出演:チョウ・ユンファ(リー・ムーバイ)
ミシェル・ヨー(ユー・シューリン)
チャン・ツィイー(イェン)
チャン・チェン(ロー)
チェン・ペイペイ(イェンの家庭教師、碧眼狐)

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