あれから数年後、香港人チンはまだ、服役中だ。ある日、脱走した中国人の囚人をかばった為、新しい看守隊長ジャウに目をつけられ医療班から、仕事がきつい土木班に変えられてしまう。刑務所内には香港人の囚人と中国人の囚人との対立があり、しょっちゅう喧嘩をしていた。だがチンは我、関せず。中国人のドラゴン親分と仲良く土木作業をしていた。そんな時、母が死んだがジャウは外出許可を下ろしてくれない。また息子の父兄参観日にも出席させてくれない。頭にきたチンは脱走を敢行。息子に会いに行く。しかしすぐ自首して戻ってきた。戻ってきたチンに対してジャウは中国人のスカルをスパイにして、チンとドラゴン親分を同時に葬り去る計画を練っていた。・・・

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前作の続編です。イウが出所した後の話であり、今回の苛められ役はチン一人です。見終わった後の感想は、バイオレンス映画というより人間ドラマになったなぁと思いました。確かに看守隊長の切れた雰囲気は前作以上ですし、裏切り者スカルとのバトルはありますが、そんなアクションは脇役でした。今回のテーマは家族愛と民族対立反対なんです。家族愛とはチンの家族愛の事。チンはギャンブル好きで家に金を入れず妻はやむなく娼婦をやります。そして妻が客をとっている現場を見て激怒したチンは元締めに飛び掛り、その際妻を突き飛ばしてしまいます。そして妻は首を切り死んでしまったのです。愛するがための激怒でした。(自業自得とも言えますが。)そして今回、母が死に息子リャンは孤児院へ。彼に残されたのは、息子しかいなくて、苛められるほど愛情は高まり脱走までするのです。息子リャンはチンの生きる希望になっていったのでした。ちなみにバイオレンス性が薄いのは苛められキャラがイウからチンに変わった事も一因です。だって前作はいかにも弱いイウ、今回のチンは強いからねぇ。さて今回の2番目のテーマは民族対立反対。囚人グループの対立は香港人VS中国人という図式になっています。香港は返還される前、経済が栄えていたので、どっちかいうとリッチ。それに引き換え大陸の中国人は飯が3回食えないほど貧乏。香港人は中国人をバカにしていたのでした。そんな中、チンは関係なし。中国人のドラゴン親分とも仲良くしていて、たまたま脱走先で出会って、一緒に助け合い逃亡生活をします。そして友情は強くなり、ドラゴン親分は、チンが裏切り者として疑われ自分の部下に命を狙われていると知り、チンと行動を共にし、捕まり刑務所に逆戻り。チンの命を助けるのです。一人でも逃げれるチャンスがあったのに、そうしない親分は義理人情の人でした。映画の中で、民族対立はやめようと言っているのです。実は、この対立は今でも心の中にあるのです。表面に現れているチベット問題だけでなく広く大陸の中にあるのです。オイラのツレの香港人は「今でも中国人じゃない、香港人だ。」と言い張ります。そしてオイラが「お前、違うだろ。」っていうと「面子が無い。」って怒るんですから。人種、民族の違いなんか関係ないのに。民族に固執して自分の心を閉ざせば、それだけ視野が狭くなるのにねぇ。なんか寂しくなりますよ。でも映画はもっと前向きに語りかけてくれました。最後に主題歌:希盼得好夢(温碧霞)の歌詞がいい。ほのぼのとした中華のメロディーの上に、人生の機微を歌い上げていました。

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1991年 香港 監獄風雲2逃犯 PRISON ON FIRE2 ★★★★
監督:林嶺東リンゴ・ラム
製作:リンゴ・ラム
製作総指揮:カール・マック
出演:周潤發チョウ・ユンファ(ティン・チン)
陳松勇チェン・ソンヨン
黄光亮トミー・ウォン(親分ビル)
ユウ・リ
徐錦江エルビス・チョイ(看守隊長ジャウ)