惑星LV-426のエイリアン殲滅作戦後、冷凍睡眠につくリプリー、ニュート、ヒックスたちを乗せて地球に帰還していたはずの宇宙船スラコ号は、低温室で火災が発生。睡眠中のみんなのカプセルは脱出ポッドに自動で移され射出された。行き着いた先は、流刑惑星フィオリーナ161(通称フューリー)の海だった。(ここもウェイランド・ユタニ社がジョイント・ヴェンチャーしていた。)生き残ったのはリプリーだけ。ヒックスは墜落のショックで支柱に串刺しにされ、ニュートは睡眠カプセルの中で溺死していた。

エイリアン3 amazon
alien 3 trailer
この惑星には25名の凶悪な男性囚人が、戒律の元で心静かに自活的な生活をおくり、放射性廃棄物を収める鉛のコンテナを作る作業に従事していた。だが、唯一の女性であるリプリーの前に、惑星の秩序は危機をむかえる。そんな状況下で、脱出ポッドに入り込んでいたエイリアンが再び活動を始め、繁殖をはじめた。凶悪で強靭な事にかけては、人並みはずれたさしもの囚人たちも、武器なしには対抗できず、成す術も無いままエイリアンの餌食になっていく。この状況のなか、図らずもリプリー自身が最悪のエイリアン・クイーンの宿主であることが判明した。対決を決意したリプリーに協力し、エイリアン抹殺を誓った囚人達は、自分達を囮にした決死の作戦を展開する。タイムリミットはエイリアン捕獲だけを目的に、囚人の抹殺を目論むウェイランド・ユタニ社の救助船到着までだ。・・・

ゴスペル風の荘厳なMUSICで始まります。囚人惑星=金属精錬所のイメージは鉄と溶鉱炉。だから映像も鉛色や赤茶けた色が主体になっていて、はっきり言ってキチャナイ雰囲気っす。この惑星はハイテクどころかチョー・ローテク。水牛を使って脱出ポッドを引き上げています。またシラミが多く、みんな坊主頭で下の毛も剃っているそうです。(笑)リプリーも坊主頭にしますし、下の毛は自分で剃れと言われました。そして囚人達の戒律は神の再降臨なのです。この思考と坊主頭が中世の教会を思い出させ、宗教色が大変強い作りになっています。ですから初めて見た時はピンとこず、面白くなかったのですが、今回の完全版を見て中々崇高な作品だと感じました。アクションシーンはおっかけっこばかりですから、つまらないですが、エイリアンの出現も神の試練と納得するディロンの潔さには感服しました。でも諦めずエイリアンと戦う姿勢に人間の精神力の強さを感じたのです。エイリアンは前作と違い、牛に寄生して生まれた為、中間のチェストバスターが、4つ足歩行するタイプに変わっていました。(劇場公開版では犬から生まれたので、通称はドッグエイリアンと呼ばれている。)ラストで寄生されたリプリーが十字架の形になって溶鉱炉に身を投じる下りは、人類の為神の元へ召されるという象徴的なシーンでした。レニー・ハーリンからの監督交替劇や度重なる脚本の書き換えで、プロダクションは混乱を極めたらしいですが、オイラ的には地味でも奥深い作品だと思いました。
2004年に30分の未公開シーンが加わった完全版(デヴィッド・フィンチャー監督は関わっていない)が発売された。
主演のシガニー・ウィーバーは当初3作目には出演しない意向だったが、自由に意見を発言してよいという条件のもと、出演を了承したという。しかし、現場ではデヴィッド・フィンチャーとのトラブルが絶えず、「監督こそエイリアン!」と激怒するほどだったらしい。本作ラストでリプリーを衝撃的な結末に到らせたのは彼女の意向だが、劇場パンフレットのインタビューで「ハリウッドの事だからクローンででも復活させるかも知れない」と語っている(『エイリアン4』では本当にその通りになってしまったが、こちらはクローン・リプリーの新たなキャラクターを気に入って出演をOKしている)。
原案に名を連ねるヴィンセント・ウォード、製作兼任のデイヴィッド・ガイラーとウォルター・ヒル、脚本のラリー・ファーガソンの他、本作成立までウィリアム・ギブスン、エリック・レッド、ジョン・ファサーノ、デイヴィッド・トゥーヒー、グレッグ・プレス、レックス・ピケットらが脚色、アイディアが少しずつ作品に反映された。実質的にはフィンチャー監督も脚本の手直しを行なった模様である。
劇場公開版ではフランクが救命艇を捜索し、破損した救命艇の中でまだ生きていたリプリーを見つけるが、完全版では、浜に打ち上げられたリプリーをクレメンズが助けるように変更された。
劇場公開版はエイリアンが犬スパイクへ寄生するが、完全版では牛に寄生するよう変更された。
リプリーがエイリアンに「長い付き合いで他人とは思えない」と語りかけるくだりは、シガニー・ウィーバー自身が自分の心境を反映させて書いたと劇場パンフレットのインタビューにて語っている。
エイリアンの軍事利用をもくろむ企業「ウェイランド湯谷」は前作「エイリアン2」でも名前のみ登場しているが(完全版のみ)、今回は日系企業である事が強調され、フューリーの施設外壁に「ウェイランド湯谷」、各設備に「鉄」「危険」などと日本語で書かれていたり(日本語で書かれた掲示物も垣間見える)、スラコ号の脱出艇の機体番号が漢数字になっているなどの演出が見られる。なお、「AVP2エイリアンズVSプレデター」のラストに「ユタニ」なる人物が登場した。


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1992年 アメリカ Alien³ ★★★★
監督:デヴィッド・フィンチャー
原案:ヴィンセント・ウォード
脚本:デヴィッド・ガイラー ウォルター・ヒル ラリー・ファーガソン
特撮:リチャード・エドランド
音楽:エリオット・ゴールデンサール
出演:シガーニー・ウィーヴァー(リプリー)
チャールズ・S・ダットン(囚人のリーダー・ディロン)
チャールズ・ダンス(医療主任クレメンズ)
ポール・マッギャン(知恵遅れの囚人ゴリック)
ダニー・ウェッブ(モース)
ブライアン・グローヴァー(刑務所長官アンドリュース)
ラルフ・ブラウン(アーロン、アンドリュースの副官。IQは85なので、あだ名は85)
ランス・ヘンリクセン(損壊しているビショップ、血が出る新型アンドロイド・ビショップⅡ)
ダニエル・エドモンド(ニュート)
ピート・ポスルスウェイト(デヴィッド)