昭和20年長い太平洋戦争で、日本は深く傷つき、帝都・東京も死に絶えようとしていた。霊的指導者・観阿彌光凰は日本を勝利へ導くため、連合軍首脳を呪い殺そうと計画を進めていた。側近の霊能力を持つ青年、中村は幼い頃からそのパワーを強大なものにさせるべく育てられていたのだ。1月1日未明、B29は東京に焼夷弾の雨を降らせ、多くの死傷者を生んだが、その怨念が帝都の怨霊・加藤保憲を甦らせてしまった。一方、空襲で母を亡くした美緒は目が見えなくなり、ようやく病院へ辿り着いた。そこには平将門の末裔で加藤にも勝る霊能力を持つ辰宮雪子が看護婦として働いていた。1月27日、有楽町で激しい爆撃に襲われた中村は、霊力を感じ、鉄塔の上に立つ加藤保憲を見た。また、そこは加藤の宿敵・辰宮雪子もおり、二人は運命的な出会いをしたのだった。2月4日。加藤は帝都にとどめを刺すべく観阿彌の秘密計画を阻止しようとやってきた。・・・

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この映画は2作目ですが、前作とはイメージがまったく違います。加藤の陰陽師の術・式神が出てこないのでジワッとする恐さはありません。まるでスキャナーズのようなサイキック合戦によるグロシーンが多く、爆発で人が吹っ飛んだり、空中浮遊などワイヤー・アクションが満載。メインストーリーである加藤の目的なんか、見ている内にどっかに飛んでいってしまいました。(笑)前半は、太平洋戦争末期の悲惨な日本の現状が語られ、後半は加藤VS中村のサイキック合戦がメインになっています。一番不気味なのが丹波哲郎扮する観阿彌光凰の呪詛でした。他にも空中に浮かされて胴体をねじ切られる男とか、子供の体が虫になっていたり、ラストの左目を飛び出した加藤とか、オエッていうグロは有りますが、恐くないんですよ。かえって失笑してしまう感じ。でも、程よくスプラッターシーンがくるので飽きずに最後まで見れます。そして、面白かったのが、ドンデン返し。観阿彌光凰が呪い殺す相手が連合軍の党首じゃなく、ナチスのヒットラーだった事です。ヒットラーは呪いでエヴァと結婚した後、銃で自殺するのです。観阿彌光凰は、味方のヒットラーを呪い殺して日本を救う為、戦争を終わらせようとしたのでした。中間で観阿彌光凰が部下に、「それでも仏に仕える身か」となじられますが日本の国民を根絶やしにしない為、最後まで悪役になりきらない所が丹波さんらしいですね。

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1989年 日本 東宝 ★★★☆
監督:藍乃才 ラン・ナイチョイ 一瀬隆重
製作総指揮:一瀬隆重
原作:荒俣宏
脚本:植岡喜晴 李美儀
音楽:上野耕路 主題曲:ジャニス・イアン
出演:加藤昌也(中村雄昂)
南果歩(辰宮雪子)
嶋田久作(加藤保憲)
野沢直子(水木玲子)
戸恒恵理子(美緒)
荒俣宏(東亜商会・担当者)
草薙幸二郎(東条英機)
丹波哲郎(観阿彌光凰)