明治45年。実業家・渋沢栄一は土御門家の陰陽師・平井保昌や物理学者・寺田寅彦らに協力を求め、ある計画を進めていた。それは「東京改造計画」といい、帝都・東京を軍事的にだけでなく霊的にも守護しようとするものだった。しかし、安部晴明の末裔、謎の魔人・加藤保憲がその計画の前に立ちふさがっていた。加藤は1000年前関東に独立国を築こうとして失敗し、謀反人として討伐された平将門の霊を呼び醒まし、東京を壊滅させようと企んでいた。そして加藤は将門の末裔・辰宮由佳理を霊媒として選んだ。・・・

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霊魂、陰陽師の術に主眼が置かれていて、ホラー映画としてのドキッとするシーンは少なく、ヨーロッパのゴシック・ホラー調です。ストーリーは人の善悪の心の戦いに重点が置かれていて、加藤のパワーの源は人の憎しみの心でした。結局加藤は3回将門の霊を呼び起こそうとしますが、失敗します。面白かったのが、加藤が中国の大連に渡り大正の大震災を起こす下り。ココはセリフが北京語なんですが、洞窟の沼での祈祷といい邪教集団って感じがピッタリでした。
以下トリビアです。
原作の「神霊篇」から「龍動篇」までを映画化。H・R・ギーガーがデザインしたクリーチャーのモデルアニメーション、ハイビジョンによる合成を使った映像、予算2億円のセットで昭和2年の銀座の風景を再現した時代考証の細緻さで注目を浴びた。東京グランギニョルの舞台『ガラチア帝都物語』に出演したことがきっかけで加藤役に抜擢された嶋田久作はこれが映画デビューとなり、その強烈なキャラクターも評判となった。また西村晃が、學天則の製作者である実父・西村真琴を演じている。

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1988年 日本 東宝映画 ★★☆
監督:実相寺昭雄
製作総指揮:一瀬隆重
原作:荒俣宏
脚本:林海象
音楽監督:石井眞木
出演:石田純一(辰宮洋一郎)
原田美枝子(目方恵子)
姿晴香(辰宮由佳理)
山本清美(辰宮雪子)
嶋田久作(加藤保憲)
西村晃(西村真琴)  勝新太郎(渋沢栄一)
寺泉憲(寺田寅彦)
中村嘉葎雄(森鴎外)
宍戸錠(早川徳次)
桂三枝(黒田茂丸)
坂東玉三郎(泉鏡花)