夜の道を走行していた自動車がゾンビ兵士を跳ねてしまう。車に乗っていたのは、大統領の元演説ライター兼選挙顧問であるデイビッド・マーチとジェーン・クリーバー。車が壊れてしまい途方に暮れていると、一台のトラックがやってくる。トラックから降りてきたのは、ゾンビ兵士たちだった。

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この異常な事態の発端は4週間前の大統領選挙を控えたアメリカ合衆国。デイビッドは、現在行われている戦争に関するTVのトークライブに出演していた。番組の中で戦死者の遺族を前に『大統領の戦争責任』に付いて問われた彼は「もし一つ願いがかなうのなら、ご子息に戻ってきて欲しい。彼らなら言えるからです。意義ある戦争だったと。」というコメントを行う。これを観た大統領はこの発言に痛く感動し、このセリフを自らの演説の中で引用する発言を行い民衆からの強い支持を得る。しかし大統領の発言を受けてか否か、その2日後から戦争による死者達が次々と本当に蘇り、ゾンビとなって故郷へと帰って来るという怪現象が発生。しかも彼らはゾンビ故に不死身ではあるものの、極めて大人しく決して人間を襲う訳でも無く、淡々と『次期大統領選挙に投票を行うと再び死体へと戻る』という奇妙な行動をとり続けるのだった。・・・



アメリカの不正な戦争を正す為、ゾンビがやってくるという映画。劇中ではイラク戦争とは言っていませんが、完全にそれを意識した風刺映画になっています。ゾンビの投票を現政府は意図的に無視し数えなかった為、現職大統領が勝ちベトナム戦争や朝鮮戦争の死者が蘇り、蜂起する下りは、ゾンビの正義の鉄拳でしょうか。今はアメリカ大統領選挙の真っ只中。民主党、共和党候補の予備選が繰り広げられています。誰になっても現実の大統領は当然、戦争の尊い犠牲者に敬意を表して欲しいものです。みんな国の為に戦ったのですから。

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2005年 アメリカ・カナダTV "Masters of Horror" Homecoming ★★
監督:Joe Dante
脚本:Sam Hamm
音楽:Hummie Mann
出演:Jon Tenney ... David Murch
Thea Gill ... Jane Cleaver
Wanda Cannon ... Kathy Hobart
Terry David Mulligan ... Marty Clark
Robert Picardo ... Kurt Rand
Beverley Breuer ... Janet Hofstadter