経営難の映画館を抱えるカービー・スウィートマンは、副業で希少フィルムを発掘し、金持ちのコレクターに売っていた。カービーが、大富豪ベリンジャーから依頼されたのは、70年代に撮影され、たった一度だけ上映された、フランスのホラー映画『世界の終り』の幻のフィルムを持ち帰ることだった。この映画は、忌まわしい記録と噂が流れていて、「シトヘス映画祭」の上映時、暴動が起き死人が出た。監督のパコヴィックは、フィルムを国外に持ち出そうとしたが政府が没収し、廃棄されたという噂がある。映画は未完で、この世にあるのは、その時のプリントが一本あるだけ。83年にもロッテルダムで上映される予定だったが、上映会場の焼失によって中止になる。だから作品を観たのは、この世でシトヘスの観客だけだという。しかも驚いたことに、ベリンジャーは、『世界の終り』に出演したという、痩せこけた白い男と、その男から切断したと思われる翼をコレクションしていたのだ。彼は異常な目をギラつかせ、「『世界の終り』は、本物のパワーを持つ映画だ」と言う。カービーは、経営難の映画館を救うため、20万ドルの報酬で引き受ける。・・・

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ホラーマニアが探し出すフィルムは禁断のフィルムだったというお話。マニアならお金の規模は違えど、気持ちはウド・キア扮するコレクターと一緒です。(笑)この映画は、ストーリーを追っていると、突然驚きの展開に陥るのが面白い演出です。例えば、羽をもぎ取られた天使が監禁されていたり、そして彼らが探し出したフィルムの製作者は悪魔だったり。そしてフィルムの正体が明かされていく内に、主人公の周りの人間が死んで、このフィルムに生贄を捧げていくのです。一度見たら逃れられない、侵食されていくってのはビデオ・ドロームに通じる世界だね。最後にカービーは最後自殺しますが、その後監禁されていた天使が解放されて一言、死んだカービーに言います。「ありがとう」って。そして天使は自分の無様なフィルムを持って帰ります。これを見て思いました。カービーは自分の為にフィルムを探していたんじゃなく、神の意思で行われていたんだと。悪魔のフィルムの存在を抹殺する事は、人間の為以外にも、天国の権威回復の為にも必要ですから。羽をもぎ取られた天使の姿が映っていたんでは、ちと、みっともないです。

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2005年 アメリカ・カナダTV "Masters of Horror" John Carpenter's Cigarette Burns ★★★
監督:John Carpenter
脚本:Drew McWeeny 、Scott Swan
音楽:Cody Carpenter
出演:Norman Reedus ... Kirby
Udo Kier ... Bellinger
Gary Hetherington ... Walter
Christopher Britton ... Meyers (as Chris Britton) 、評論家A・Kマイヤーズ
Zara Taylor ... Annie
Chris Gauthier ... Timpson (as Christopher Gauthier)
Douglas Arthurs ... Dalibor (as Douglas H. Arthurs)
Colin Foo ... Fung
Gwynyth Walsh ... Katja
Christopher Redman ... Willowy Being
Julius Chapple ... Henri Cotillard