オットー・ハイデック医師が大カマで首を切られ殺された。犯人が首を持って帰宅する時、その家にこそ泥が入る。殺人者とこそ泥は一戦まみえ、こそ泥は逃げるが、血がついた衣服なので、すぐに警察に止められ尋問を受けた。彼は起きた事を話し、その邸宅へ警察を案内する。殺人者はフランケンシュタイン博士。しかし彼はすぐに逃げていた。フランケンシュタインはフェナーと名を変え、女主人アナが経営するアパートを借りる。たまたまアナの恋人カール医師が訪ねて来た時、彼が落としたコカインを拾う。アナの母の治療費の為、彼らが麻薬の横流しをしている事に気づいたフランケンシュタインは、これぞ絶好のチャンスと、彼らを脅し、アパートの客を叩き出させ、アナのアパートに実験室を作り始めた。フランケンシュタインは同僚で発狂したブラント博士を治療し脳移植の秘密を聞きたがっていた。・・・

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フランケンシュタイン 恐怖の生体実験 amazon
ハマーのフランケンシュタイン第5作。今回は目的が違いました。神の領域に入り人造人間を作るっていう目的では無く、脳移植の秘密の公式を手に入れる事が目的になっています。目的はより医学的になっているのですが、今回のフランケンシュタインは完全な悪に徹しています。もう紳士な博士ではなく、マッドドクターです。アナとカールを脅して無理矢理助手にしたり、アナのネグリジェ姿に興奮して襲うのですから。(でもヴェロニカ・カールソンは脱がないので、服の上からそのダイナマイト・バディを想像するしかありません。)まあピーター・カッシングも紳士役に飽きたかもね。いきなり血が飛び散ったり、突然基地外女が絶叫したり、死体の手が庭から飛び出したりと突発的なショックシーンと、精神的にハラハラさせるシーンのバランスが良く配置されていて、次から次へと展開が変化するサスペンス・ホラーに仕上がっています。ジェームズ・バーナードの音楽も強烈なインパクトがあり吸血鬼ドラキュラ並みの、スリリングなアンサンブルが聴けます。ハマーの全盛期を感じさせる満足な出来栄えです。

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1969年 イギリス FRANKENSTEIN MUST BE DESTROYED ★★★★
監督:Terence Fisher
脚本:Bert Batt
原案:Anthony Nelson Keys、Bert Batt
音楽:James Bernard
出演:Peter Cushing ... Baron Frankenstein
Veronica Carlson ... Anna、アナ・スペングラー、カールの婚約者
Freddie Jones ... Professor Richter
Simon Ward ... Karl、カール・ホルスト医師
Thorley Walters ... Inspector Frisch、フリッシュ巡査部長
Maxine Audley ... Ella Brandt、エラ・ブラント夫人
George Pravda ... Doctor Brandt、ブラント博士
Geoffrey Bayldon ... Police Doctor、鑑識医
Colette O'Neil ... Mad Woman