グラフィックデザイナーのデビッドは、橋から川に身を投げようとしていた少女アウラを助ける。彼女は拒食症治療のために入院させられた精神病院から脱走していた。その後、警察に保護されたアウラは両親の元に送り返される。両親はルーマニアからの移民で、降霊術で生計を立てていた。アウラが戻った夜、降霊会の最中に、母親のアドリアーナに何者かの霊がとりつき、「この部屋に人殺しがいる」と叫んで暴風雨の中を外へ飛び出し、追いかけた父、ステファンと共に消えてしまう。後を追ったアウラの眼前で、両親は正体不明の殺人鬼によって首を切り落とされて殺された。・・・

trauma_abpos.jpg
フランス版DVDジャケ(左)とドイツ版VHSのジャケ(右)。ドイツ版は流石グロっす。

トラウマ 鮮血の叫び amazon
TRAUMA 1993 trailer
娘アーシアを主演にしたダリオの父性愛の映画なんですが、父が父だけに当然ホラー映画です。(笑)ストーリーは首切り殺人魔の恐怖を描いていますが、それに心霊フレーバーをMIXした映画でした。一番興味深く見たのは、首切りマシーン。今ではSAWのTRAPがありますが、当時では斬新でした。これは2重◎。またダリオの映画によく出てくる爬虫類も登場、今回はトカゲです。彼は「トカゲやうじ虫はフロイトの哲学ではセックスのシンボルである」と言っています。公開当時はダリオがアメリカ映画を目指したとか、フランスの批評家から、「最初の20分はすばらしいが、その後は普通の映画になってしまう」と酷評されましたが、オイラはこの映画は全然悪くないと思います。確かに奇抜な映像ショックや色彩美はありませんが、ダリオの恐怖を演出する手法は健在だと思うからです。

trauma01.jpg
最後にAVETE VISTO DARIO ARGENTO PAGEからのバージョン違い情報を引用。
以下のシーンはイタリア語版にはあるが、英語版からはカットされている。
1.隣の屋敷に殺人犯が住んでいるらしいと疑っている昆虫好きの少年が、壁に張り付いた珍しいトカゲに誘われるように問題の屋敷に忍び込み、凶器らしき物を発見するが、突然帰宅した家の主に驚いて逃げ出してくるシーンの直後、テレビ局で、美人アナウンサーのグレースと主人公デイビッドがガラスで隔てられたブース越しにマイクロフォンを使って会話するシーン。
2.デイビッドが自宅にかくまっているアウラが心配になり、通りから電話すると、アウラが彼を安心させるために食事をしたと嘘を言って電話を切るシーン。アウラの背後にはきれいに片づいたキッチンが見える。
3.市場に買い出しに出かけたアウラがジャド医師に発見され、追いかけられるシーン。市場には色とりどりの食べ物が並んでいてカメラはそれを滑るように写し出す。混雑した市場の通りでドラムを手で叩いて演奏している黒人にアウラは目をとめる。
4.事件の鍵を握る女医を追ってモーテルへ泊まる事にしたデイビットとアウラ。デイビッドがフロントで「駐車場が見える部屋にして下さい」と願い出るシーン。離れた壁によりかかったアウラがプールで母親に怒られている子供を見ているショット。

trauma02.jpg

1992年 アメリカ TRAUMA ★★★★
監督:Dario Argento
脚本:Dario Argento、T.E.D. Klein、Ruth Jessup (additional dialogue)
特殊メイク:Tom Savini
音楽:Pino Donaggio
出演:Christopher Rydell ... David Parsons
Asia Argento ... Aura Petrescu
Piper Laurie ... Adriana Petrescu
Frederic Forrest ... Dr. Judd
Laura Johnson ... Grace Harrington
Dominique Serrand ... Stefan Petrescu
James Russo ... Capt. Travis
Ira Belgrade ... Arnie
Brad Dourif ... Dr. Lloyd
Hope Alexander-Willis ... Linda Quirk
Sharon Barr ... Hilda Volkman