“若人よ、若き日に楽しめ  コヘレトの言葉”
この出だしから始まる。1967年のベトナム共和国、白人のクリス・テイラーは自分と同年代の、しかも少数民族や黒人・貧困層という、アメリカ合衆国の底辺層である若者が、職と金を求めて、次々とアメリカ合衆国軍に徴兵していく現実に憤りを覚え、両親の反対を押し切り大学を中退して、アメリカ陸軍に志願、ベトナム戦争の戦場へやってきた。しかし南ベトナム解放民族戦線のゲリラ戦に悩まされ、鬱蒼とした密林のジャングルで対峙する戦場の過酷さは、彼の想像を遥かに超えるものであり、現地に配属された当日に、自身の決断を後悔する。テイラーはカンボジア国境付近のアメリカ陸軍第25歩兵師団に配属される。

プラトーン amazon


明けましておめでとうございます。ROMいただいている皆様、今年もよろしくお願い致します。新春一番、昨年放送が終わったドラマ・のだめカンタービレの中で、プラトーンのテーマが流れていたのを思い出しました。そこでネットで調べてみると、このメインテーマは音楽担当のジョルジョ・ドルリューがサミュエル・バーバー作曲の『弦楽ためのアダージョ』を奏でていたのです。この悲壮なテーマを聞いて、DVDを引っ張り出してまたプラトーンを見たくなりました。

大学を自主中退したクリス・テイラーはベトナム戦争に志願、彼は「貧困層のみに戦争させちゃいけない」っていう正義感でベトナムにやってきましたが、あっと言う間に地獄の現実に気づきます。彼の心情はアメリカの祖母に書く手紙に綴られ、劇中で戦闘状態の人間のエゴが存分に描かれています。ほとんどの兵隊たちが人間の良心や理性を失ってしまい本能のまま突っ走ります。何が正義、何が悪か、分からなくなっていく中、ジャンキーのエリアス(ジャンキーが良い人って概念はひねってあります。)とテイラーだけが正義感を持ちつづけるのです。エリアスは住民を銃殺した仲間のバーンズを軍法会議にかけると発言した為、裏切られ、敵陣に取り残され殺されます。それを頭に来たテイラーがエリアスの仇討ちするって物語。
戦争本来のシーンより、この3人の人間ドラマの映画。印象的だったのはジャングルから見上げる空の美しさ・・・空は地上の地獄とは別世界のようでした。また待ち伏せの戦闘シーンにはほとんど音楽が無く、虫の声や鳥の声が効果音に使われていて妙な生々しさが充満していましたね。ぴけっとのお勧めの作品です。



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1986年 アメリカ PLATOON ★★★★★
監督、脚本:Oliver Stone
音楽:Georges Delerue
出演:Tom Berenger...Sgt. Barnes、バーンズ軍曹
Willem Dafoe...Sgt. Elias、エリアス軍曹
Charlie Sheen...Chris
Kevin Dillon ...Bunny
Forest Whitaker...Big Harold
John C. McGinley ...Sgt. O'Neill、オニール軍曹
Francesco Quinn ...Rhah
Johnny Depp ...Lerner
Dale Dye ...Captain Harris、ハリス大尉