生ませの親・レンのたっての願いで、盲導犬になる為に訓練士・多和田に預けられることになった一匹のラブラドール・レトリーヴァーの子犬。おなかに鳥が羽を広げたようなブチがあることから、パピーウォーカー・仁井夫妻によって“クイール"と名付けられたその子犬は、1年間、夫妻のもとで愛情一杯に育てられた後、いよいよ盲導犬訓練センターで本格的な訓練を受けることになる。

クイール amazon
Quill Guide Dog trailer 2004
のんびり屋でマイペースなクイールに、ヴェテランの多和田でさえ手を焼くこともあったが、やがてクイールは立派な盲導犬へと成長し、視覚障害者の渡辺と巡り会う。初めこそ息の合わなかった渡辺とクイール。だが、ハーネスを介して伝わってくるクイールの思いやりに、渡辺は次第に心を開くようになり、互いにかけがえのない存在になっていく。しかし、クイールとの生活が2年を過ぎた頃、渡辺は重度の糖尿病に冒され、3年後、この世を去ってしまう。そしてそれから8年後、仁井夫妻のもとで余生を送っていたクイールもまた、12年と25日の生涯を静かに閉じるのだった。・・・幕

お腹に鳥の翼の模様があるラブラドール・レトリバー:クイール君の生涯を描いた物語です。ベストセラー小説「盲導犬クイールの一生」の映画化。クイールが数々の別れを経験しても立派に成長、人間を愛し続けてくれる優しい犬を好演しています。生まれの親との別れ、1歳まで育ての親元で暮らし盲導犬訓練の為また別れ、盲導犬訓練士と心を通わせた後、訓練士(椎名桔平)との別れ、そして立派な盲導犬として視覚障害者の渡辺(小林薫)の元へ旅立って行きます。頑固者の大阪弁の渡辺が徐々に献身的なクイールに心を開けていくのは動物好きのオイラとしては微笑ましく感動的ですね。また渡辺の子供に馬鹿殿ヘルメットをかぶせられたクイール、笑えると同時に妙に似合っていましたよ。ふと思えば殺伐とした経済社会で戦う我々、日本人。この小さな犬が人間が忘れかけている優しさ、心の尊さを言葉をしゃべらずとも、眼でそして仕草で教えてくれるんです。そして更に感動のラストが待っています。・・・ボロボロ泣きまくり・・・出来れば家族、恋人との鑑賞をお勧めします。

2004年 日本 Quill: The Life of a Guide Dog ★★★★★
監督:崔洋一
原作:秋元良平 石黒謙吾
音楽:クリコーダーカルテット(栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳朗)+駒沢裕城
出演:小林薫(渡辺満)
椎名桔平(多和田悟)
櫻谷由貴花(渡辺美津子)
松田和(渡辺悦男)
香川照之(仁井勇)
寺島しのぶ(仁井三都子)
名取裕子(水戸レン)
戸田恵子(渡辺祺子)