ヘンリーは男性雑誌の編集部に勤めるサラリーマン。しかしバブルの生活に憧れ、無理して、やっと郊外に家を買っても金が足りず完成できない。更にその為、車に乗れず歩いて出勤だ。妻ジャニーンに毎日なじられ、編集長のミロに馬鹿にされ、挙句に妻を寝取られる。友達の証券ブローカー:ジミーは、儲からないと嘘をつき、更に騙してヘンリーの株を勝手に売っていた。そんな彼が自分の存在に絶望して朝、目覚めると、顔にロージーから貰った白い仮面が貼りついていた。その時彼の中に別の人格が目覚め、今まで馬鹿にしてきた奴らに復讐をはじめる。・・・

URAMI 怨み amazon
BRUISER 2000 trailer
ゾンビのジョージ・A・ロメロ監督の個人的な怨み節がこもった映画です。(その理由下記参照)主人公ヘンリーは存在を否定されぶち切れるのですが、よく考えればバブルに踊らされた自分がいけなかったのも現実です。確かにここまで、やられれば切れるのは理解出来ますが、人の評判ではなく、自分の自己をしっかり持っていなかったのはまずかったですね。日本もバブル期にはサラリーマンしながらサイドビジネスで儲け、ベンツに乗り、女引っ掛けて、飲み歩く。また仕事のために接待合戦を繰り返し、タクシーチケットを乱発でした。今、プチバブルと言われている時代ですが、二の舞を踏んではいけません。(ホリエ門はやっちゃったようですが、、、^^)本当の幸せは金では買えないと自覚し生活しましょう。

以下、監督ロメロのインタビューから引用
「この映画には、私が映画を作れなかったこの数年間の怨みが込められている」。彼は93年の『ダーク・ハーフ』に続く企画を抱えていたが、ニューライン、MGM、20世紀FOXを6年間もタライ回しにされた。「でも、結局撮影に入ることすらできなかった。もうハリウッドには愛想が尽きたよ」そして、メジャーから離れインディペンデントに戻り、カナダ資本とカナダ・ロケで完成させたのが、この『URAMI』である。「主人公を苦しめる傲慢な編集長はハリウッドのエグゼクティヴがモデルだ。豪邸に住む彼は、狙った女性は片っ端から押し倒し、周囲にはオレがお前らを食わせてやってるんだと威張りちらすんだ。」「彼は典型的なハリウッド人種だ。でも、人はみんな彼のような人間を憎みながらも憧れているんだ。特に最近のアメリカ人はね。」90年代後半のアメリカはバブル経済に狂っていた。誰もが株に手を出し、BMWやベンツに乗ることを目指していた。「この映画の主人公も、必死で立派な家を買い、株式投資を始めるが、気がつくとカラッポの人間になっていた。高級車や豪邸は人生の目標にはならない。いくら高い物でも自分の中身を埋めることはできない。アイデンティティは金では買えないんだ。アイデンティティの喪失は今のアメリカの大きな問題になっている。それを象徴するのが、あの白い仮面だ」


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2000年 アメリカ BRUISER ★★
監督・脚本:George A. Romero
音楽:Donald Rubinstein
出演:Jason Flemyng ... Henry Creedlow
Peter Stormare ... Milo Styles
Leslie Hope ... Rosemary Newley
Nina Garbiras ... Janine Creedlow
Andrew Tarbet ... James Larson
Tom Atkins ... Det. McCleary
Jonathan Higgins ... Det. Rakowski
Jeff Monahan ... Tom Burtram
Marie Cruz ... Number 9
Beatriz Pizano ... Katie Saldano